患者の手を握っている医者

身体が熱っぽく怠い…。風邪かと思っていたけどちっとも治らない…。このような症状が続く場合は、早めに医療機関を受診しましょう。もしかしたら聞きなれない「全身エリテマトーデス」という自己免疫性疾患の病気かもしれません。症状と原因を解説します。



全身性エリテマトーデスの5大症状を解説!原因とは?


1)そもそも全身性エリテマトーデスとは何? 

(1)膠原病(こうげんびょう)の一つ

全身性エリテマトーデスは自己免疫性疾患の一種であり、膠原病の一つとして分類され、国から難病指定を受けています。 本来の免疫の役目は、ウィルスや細菌から身体を守ることです。しかし、自己免疫が自分の身体の成分に反応してしまう自己抗体を勝手に造り、それを攻撃するようになります。これを「自己免疫性疾患」といい、身体に様々な症状があらわれるようになります。 全身エリテマトーデスの日本での発生率は10万人に対し30人前後と言われ、日本全国では6~7万人程の罹患者がいると言われています。 

(2)治癒の可能性とは

発症原因は不明で、男女比は1:9です。女性の発症率が高く20代から40代の女性に特に多くみられます。 「完治」という状態になることはなく、治療を行わなくて良くなる「寛解(かんかい)」という状態にさせることが目的で治療が行われます。 現代では、免疫と炎症を抑制する投薬治療が行われており、予後は著しく改善して5年生存率は95%を超えています。 

2)5つのチェック!全身性エリテマトーデスの症状と特徴 

(1)全身症状 

・全身倦怠感 

・発熱 

・食欲不振 

(2)関節の症状 

・関節炎(日によって膝や肘などに関節炎が移動することもある) 

(3)皮膚症状 

・蝶型紅斑(長が羽を広げたようにみえ、鼻筋から両頬にできる発疹) 

・円形紅斑(中央が白く、顔面・首まわり・頭部などにできる) 

・手のひら・指・足の裏の皮疹(しもやけ上の湿疹) 

・日光過敏(日焼け後に皮疹・発熱・水ぶくれができる) 

・鼻腔内・口腔内潰瘍(潰瘍に痛みはない) 

・脱毛 

(4)内臓症状 

・ループス腎炎(蛋白尿・血尿・むくみなどがあらわれる) 

・腹膜炎(腹部にある腹膜に炎症が起こる) 

・胸膜炎(肺を囲む胸膜に炎症が起こる) 

・心膜炎(心臓の筋肉層に炎症が起こる) 

・貧血 

(5)中枢神経症状 

・うつ病 

・失見当識(日時や自分のいる場所がわからない) 

・脳血管障害 

・頭痛 

・てんかん 

・けいれん 

3)症状の変化とは?全身性エリテマトーデスの症状の現れ方 

(1)人によって様々な症状

症状のあらわれ方は様々です。 倦怠感・発熱・食欲不振といった、風邪の初期症状に似た症状から始まる場合もあれば、関節の痛みや高熱を出す場合もあります。 また、これらの症状が数ヶ月や数年に渡ってあらわれたり軽減したり消えたりすることを繰り返す場合もあります。 人によっては、頭痛やてんかん・けいれんがきっかけになったり、最も特徴的な症状である蝶形紅斑の発生・関節痛・むくみなどがきっかけになってエリテマトーデスが発見される、といったこともあるので、症状のあらわれ方は千差万別だと思われます。 

(2)はっきりとした診断まで時間を要す事も

重症になると、腎不全や心膜炎に移行したり、失見当識やうつ病・脳血管障害などがあらわれ、治療が非常に困難になり、また長期にもなります。 風邪だと思って内科へ、関節痛と思って整形外科へと、はっきり診断されるまで時間がかかるケースもあります。 体調が改善しない・診断結果に不安があると感じた場合は、早めにエリテマトーデスの専門医がいる医療機関を受診することが、早期発見・早期治療に繋がります。

Doctors meeting

4)何が原因なの?考えられる原因とは 

全身性エリテマトーデスになる原因は、はっきりと確定されていません。複数の遺伝的要因が重なったところへ、紫外線の照射・感染・特定の薬の影響などが加わり発症するのではないと言われています。しかし、女性の罹患率が高いことから、女性ホルモンや妊娠・出産などが関係している可能性が高いとも言われています。多くの女性は、月経が始まると症状が失くなり、月経の後半になると再び症状が現れます。また、閉経後の女性の再燃(再発)があまりみられないことからも、女性ホルモンが関係していると考えられています。 

5)初期症状で気になる場合に!専門医で試したい検査・治療方法とは 

全身性エリテマトーデスの検査や治療は、内分泌代謝専医・皮膚科専門医・アレルギー専門医がいる病院で行われます。 

(1)検査方法 

血液検査…自己抗体を調べる大切な検査になります。 

尿検査…腎臓機能を調べます。 

心電図…心臓機能を調べます。 

超音波検査…内臓の炎症を調べます。 

皮膚生検…湿疹や紅斑がある皮膚の一部を採取し、顕微鏡で観察します。 

画像診断…レントゲン・MRI・CTなどを用いて、体内の炎症を調べます。 

(2)治療方法 

主に薬物治療が行われ、免疫の働きと炎症を抑える薬が処方されます。しかし、症状の程度により、内臓や関節などの器官が炎症している場合は、そちらの治療も必要になります。それらの炎症を抑える薬や免疫を抑える薬を組み合わせ、長期間に渡って服用し、免疫が抑制されてきたと医師が判断したら、またそこから薬の量を調整し、最終的には薬が必要でなくなる「寛解」にまで到達させるか、もしくは寛解にならずとも、病状が悪化・進行しないように薬を継続させて患者の体調を安定させることが治療の目的になります。 

6)全身性エリテマトーデスを発症した場合の予後に気を付けること 

(1)薬をきちんと服用する 

全身性エリテマトーデスは、良くなったり悪くなったりを繰り返します。医師から処方された薬を自己判断で飲むのをやめたり、量を減らすことはやめましょう。自己免疫性疾患は、免疫がしっかりと抑制されるまでにかかる期間には個人差があります。早く効果が出て寛解になる人もいれば、薬を長年飲み続けている人もいます。「いつかは寛解になる」「寛解にならずとも服用を続けていれば体調は安定している」といったふうに考え、焦らずにゆっくり治療してください。 

(2)体調を管理する 

風邪などで体調を崩したり、怪我や病気で手術を行うようなことになると、免疫力が低下して感染症などを発症する場合があります。また、強い日焼けをする海水浴やスキーなどにも充分気をつけ、疲労が蓄積されないように体調管理をしっかり行ってください。 

(3)食事内容に気をつける 

全身性エリテマトーデスを治療する薬にはステロイドが含まれているので、骨がもろくなる可能性があります。野菜やカルシウムを積極的に摂取しましょう。また、ループス腎炎を予防するためにも、なるべく塩分は控えるにしましょう。



今回のまとめ

1)そもそも全身性エリテマトーデスとは何? 

2)5つのチェック!全身性エリテマトーデスの症状と特徴 

3)症状の変化とは?全身性エリテマトーデスの症状のあらわれ方 

4)何が原因なの?考えられる原因とは 

5)初期症状で気になる場合に!専門医で試したい検査・治療方法とは 

6)全身性エリテマトーデスを発症した場合の予後に気をつけること