シニアの男性の診察を行うナース

現代の日本では、痛風で通院している人は、予備軍である高尿酸血症を含めると、年々増えています。

今回は痛風の初期症状のご紹介をします。そして、仕組みを理解して日常生活から見直し尿酸をコントロールして高尿酸値から痛風発作が起きるのを防ぎましょう。



痛風の2つの初期症状!中期・末期の症状解説


1)痛風とはどんな病気か

(1)原因は高尿酸血症

痛風とは高尿酸血症によって引き起こされるものです。高尿酸血症とは、血液中の尿酸量が異常に増える状態になることです。

尿酸は、白色、無味、無臭で針状の結晶で、体細胞の新陳代謝やエネルギー消費によってできる老廃物です。通常は、尿または便で体外に排出されるものです。

しかし体外への排出が間に合わない場合や過剰に尿酸が作られる場合、尿酸が体内に増えすぎてしまいます。

(2)尿酸塩の沈殿

その尿酸がナトリウムと結びつき尿酸塩(尿酸ナトリウム)ができます。その尿酸塩が臓器に沈殿したり、血液中の流れだし血液が滞留しやすい関節に沈着することがあります。

節内の尿酸塩を免疫細胞が異物と誤認して攻撃することによって炎症が起こり激痛に襲われることを痛風発作と言います。

2)痛風の2つの初期症状

痛風の原因となる高尿酸血症は、初期では健康診断により尿酸値が高い値を示すだけで痛みは起こりません。しかし尿酸値が高い状態を放置して適切な対応を怠った場合は、痛風に移行する可能性が高くなります。

前兆として痛みが起こる部分が「チクチク」「ピリピリ」「ムズムズ」と言った痛みを感じたり、違和感を感じたり、鈍痛、こわばり、ほてりのようなものを感じる場合があります。

(1)痛風の発作

突然、膝や足の指(特に親指は多い)に腫れて激痛となります。70%以上が足の親指に痛みが現れることが多いです。激痛ですが、しばらくすると(2週間程度)収まります。症状が重くなると痛みを感じる間隔が短くなります。

(2)膝関節などに炎症が発症し腫れる

痛みを感じる部分が大きく腫れて、熱を持った炎症を生じます。放置すると関節に重大な障害を引き起こす場合があります。

初期の段階である間欠期は、痛みが2週間程度で収まるため適切な治療をしない場合がありますがこの時期に尿酸値を低下させる治療を開始しなければなりません。尿路結石や腎障害になりやすい時期でもあります。

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3)痛風の中期・末期の症状

(1)中期:慢性結節症痛風期

痛みが慢性化します。そのまま放置すると尿酸塩が関節のみでなく皮下にも沈着してこぶ状に盛り上がります。これを痛風結節と言います。関節と違って激痛を伴わないので気づくのが遅れることがあります。痛風結節の尿酸塩は、組織の中に入り込み沈着した部分の骨を侵食したり破壊したりしてしまうこともあります。

末期:痛風で本当に恐ろしいのは、合併症発症です。腎臓に尿酸が沈着する痛風腎や高血圧症、脂質異常症などを発症します。

(2)合併症一覧

腎障害(痛風腎)

尿酸が沈殿することにより腎臓の機能が損なわれ腎不全となり、最終的には人工透析治療が必要となります。尿路結石ができやすくなります。

高血圧症

高血圧症と痛風を合併すると心臓の血管障害を起こしやすくなります。

脂質異常症(高脂血症)

血液中の総コレステロール、中性脂肪が高い状態で動脈硬化の原因となります。

4)痛風の主な4つの原因とは

尿酸値が上がることによって高尿酸血症(痛風)になります。その原因には、次のものがあります。

(1)プリン体食品の過食

過食、プリン体を多く含む食品(豚・牛・鶏のレバー、魚の干物など)の過剰摂取

(2)アルコールの過剰摂取

アルコール類は、肝臓で分解される過程で疲労物質である乳酸が作られます。この乳酸によって尿酸を排出する機能が低下するので尿酸値を上げることになります。

(3)過剰な運動

適度な運動は、血液の循環がよくなり新陳代謝が活発になります。そのため痛風の予防には効果的です。しかし体力を過剰に消耗するような激しい運動は、逆に尿酸値を上昇する原因となります。

運動のエネルギーの源であるATP(アデノシン三リン酸)を消費するため筋肉で過剰にプリン体が作られ尿酸値が上昇します。さらに腎臓への血流量が減少するので尿酸の排出量も減り、尿酸値が上昇します。水分をしっかり補給することが重要です。

(4)腎臓の機能低下

尿酸は腎臓で処理され排出されますが、その機能が正常に働かないもしくは、もともと体質的にその能力が低い人もいます。そのような場合、過剰に産出された尿酸が処理できず尿酸値が上昇します。

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5)痛風の検査方法とは

痛風発作が疑われる場合の検査としては、血液検査となります。

(1)CRP(C反応性たんぱく)

炎症が起こっているときに肝臓で作られるたんぱく質であるCRPが血液中に含まれる量によって痛風による炎症の有無や程度を判定する方法です。通常は、0.3以下です。ただし炎症の原因までは特定することができません。

(2)血沈(赤沈)

静脈から採取した血液に抗凝固液を混ぜて、赤血球が一時間に沈むスピードを測る検査で、炎症の有無によってスピードが変わります。スピードが速いほど炎症が起きている可能性が高くなります。

正常値は、男性で1~10mm、女性で2~15mmで20mm以上の数値で炎症が起こっていると判断します。ただし炎症が起こっているのに正常値を示す場合があります。

またCRP検査と同様に炎症の原因までは特定することはできません。痛風発作の最中は、尿酸値が低下している場合があるので後日次の再検査を行って診断します。

(3)関節尿酸値

痛みのある関節の関節液を採取して尿酸塩結晶の有無を調べます。

(4)痛風結節生検

親指の関節やひじの関節などに見られる痛風結節と思われる組織を採取して尿酸塩結晶の有無を調べます。

(5)関節X線検査

炎症を起こしている関節をX線で撮影して骨の異常有無を調べます。

(6)超音波(エコー)検査

超音波を体内に向けて発振してエコーによって尿酸塩結晶や尿路結石の有無を調べます。

6)痛風の3つの治療方法

血清尿酸値が、7.0mg/dlを超えると尿酸が血液に溶けきらず痛風発作を起こしやすくなります。そのため7.0mg/dlを超えると高尿酸血症と判断され治療が開始されることになります。

痛風発作の痛み、炎症を抑える治療、痛風発作が頻発するときに行う治療、痛風発作を予防する治療があります。

(1)痛風発作の痛み、炎症を抑える治療

炎症を抑え、痛み和らげるために薬物療法を行います。非ステロイド抗炎症薬(NSAID)を使います。ピーク時には、大量に服用します。

この治療法を「NASIDパルス療法」と呼ばれています。副作用として胃腸障害を引き起こす場合があります。そのため胃腸障害を持つ人は、より悪化するため使えません。

何らかの理由により 非ステロイド抗炎症薬が使えない場合や効果が充分に得ることができない場合は、副腎皮質ステロイドを使用します。

(2)痛風発作が頻発するときに行う治療

NASIDパルス療法を行います。痛風発作が起きている間は、大量に服用します。収まれば通常の量まで減らします。通常の生活を送れる程度まで回復するまで服用を続けることが重要です。

途中で中止すると重症化するので≪注意が必要です。 NASIDパルス療法で効果がない場合は、副腎皮質ステロイドを使います。

経口、点滴、静脈注射、筋肉注射、関節注射を行います。特に短期間に重篤な発作に襲われる場合は、筋肉注射が有効と言われています。

(3)痛風発作を予防する治療

痛風発作を過去に経験している場合は、痛風発作の前兆を感じる場合があります。この前兆を感じたときに予防する目的でコルヒチンと言う薬を服用します。

昔からある薬で、白血球の働きを抑えることによって尿酸塩結晶を異物として攻撃することを抑制する薬です。副作用として肝障害、白血球の減少があります。

一度に大量に服用すると下痢、吐き気、脱毛、筋肉の痙攣をおこす場合があります。できるだけ少なく服用することが必要です。痛風発作を起こしていない場合でも高尿酸血症の場合は、尿酸値レベルによって次治療を行います。

・尿酸値7.0~8.0

基本的に生活習慣の見直しを行い経過を観察します。生活習慣の見直しが困難な場合は、薬物治療を行います。

・尿酸値8.0以上

合併症がない場合は、生活習慣の見直しを行います。合併症が見られる場合は、薬物治療を行います。合併症がなくとも尿酸値が9.0を超える場合は、薬物治療を行います。

なお薬物治療には、高尿酸血症のタイプに合わせて尿酸生成抑制薬と尿酸排泄促進薬があります。それぞれのタイプに合わせた薬物を服用します。

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7) 痛風の治療後の3つの予後

痛風発作の痛みや炎症が収まれば、本格的に尿酸値を下げる治療を開始します。尿酸値の上がる原因として尿酸が多く作られているのか、それとも適切に排泄されていないか見極めることが必要です。それぞれ適切な薬物治療を行います。

(1)尿酸産生過剰型

肝臓で尿酸が作られる時に働く酵素の作用を妨げて尿酸の生成を抑えます。尿酸生成抑制薬として、アロプリノール、フェブキソスタットがあります。

(2)尿酸排泄低下型

腎臓の尿細管に作用して尿酸の排泄を促進します。尿酸排泄促進薬として、プロベネシド、ブコローム、ベンズブロマロンがあります。

(3)混合型

混合型は、排泄促進を行うと尿中の尿酸が増加して尿路結石を引き起こすことを防止するために尿酸生成抑制薬により薬物治療を行う。

少量の服用を行いながら尿酸値の経過を見ながら尿酸目標値6.0以下になるように服用量を調整します。尿酸値が調整できれば痛風発作は徐々に減少して起こらなくなります。

ただしどの薬物でも副作用があります。医師の指導を受けながら適切な服用を行うことが重要です。

8)痛風の5つの予防ポイント

尿酸値を上げない生活を心掛けることが重要です。

(1)食生活を見直し肥満解消

適度なエネルギー摂取をおこなうことにより、肥満を防止します。肥満を防止することにより尿酸を排泄することを阻害する様々な要素を排除することができます。

(2)適度なアルコール摂取

アルコールは、肝臓での尿酸の産生を促進します。その上尿酸のもとになるプリン体をアルコールは増加させるだけでなく、尿酸の排泄量を低下させます。

そのため結果的に尿酸値を上昇する原因となります。しかし適量のアルコールはストレス解消となることもあります。

(3)充分な水分補給

水分を充分取り尿の酸化を防止します。一日2L以上水分を取り野菜や海藻などを摂取して尿のアルカリ化を防止し、尿酸が溶けやすくする。

(4)適度な運動

過剰な運動は、ATP(アデノシン三リン酸)の再生成が間に合わず、プリン体が尿酸へと分解されて尿酸値を上昇させます。激しい運動によって生じる乳酸によって腎臓の機能が低下し、尿酸を排泄する機能を妨げることになります。

(5)ストレス解消

適度な運動は、インスリンの働きを活発にし、血圧の上昇を抑え、中性脂肪を減少させ、善玉コレステロールを増加させます。

その上筋肉が消費するエネルギーが増加することで肥満を防止することができます。その上尿酸値を上昇させるストレスを発散できます。

尿酸値をあげない日常生活を過ごすには、まず食生活を見直し、肥満(特に内臓脂肪型肥満)を解消することが大事です。適度な運動と精神的ストレスの解消が重要なポイントです。



今回のまとめ

1)痛風とはどんな病気か

2)痛風の2つの初期症状とは

3)痛風の中期・末期の症状とは

4)痛風の主な4つの原因とは

5)痛風の検査方法とは

6)痛風の3つの治療方法とは

7)痛風の治療後の3つの予後とは

8)痛風の5つの予防ポイントとは