カルテと女医

痛風は欧米では広く知られた病気ですが、日本では明治以前まではなかった病気と云われます。これは主に食生活の変化によってもたらされた必然的な病気と云えます。

今回はこの痛風の初期・中期・末期の症状について、原因や治療法、予防の方法などをご紹介します。






痛風の初期・中期・末期症状!3つの原因


1)通風とはどんな病気か

通風とは尿酸が身体の中に溜まり、それが針状の結晶となって激しい痛みを伴う関節炎症状を持った病気です。

今では良い薬も開発され的札な治療をすれば全く健康な生活を送ることが出来ます。しかし放置したりすると、関節に激しい痛みを起し、身体のあちこちに結節が出来たり、腎臓が悪化したりする重大な病気とも云えます。

2)痛風の前触れの3つの状態とは

(1)通風の痛みは前触れなく起きる

通風の発作は、何の前触れもなくある日突然に痛みが走る場合が多い様です。

(2)関節などに違和感を感じる

一度発作が起きると、次の発作が起きる前触れとして、関節などに違和感を覚えます。ムズムズ、ピリピリしたり、何かにぶつけた様な痛みの感覚を覚えたりなどします。

3)痛風の初期・中期・末期 それぞれの3つの症状

(1)通風の初期症状

通風の初期段階で自覚症状として確認することができる特徴的なものです。

・足の指先や関節に違和感がある。

・関節などに炎症が見られる。

・足の指先が腫れている様な感覚がある。

・痛みを感じるがその後痛みは治まる。

・立ち上がる動作の時などに足先に痛みを覚える。

(2)通風の中期症状

初期の段階では痛みを発症しても数日で治まっていたものが、放置していたことで発作の間隔が徐々に短くなってきて痛みが治まりにくくなって、複数の箇所に痛みが生じる様になります。

関節の炎症が悪くなってくる様になり慢性化します。

(3)通風の末期症状

末期になると関節以外の場所に尿酸が蓄積されてしまい尿酸結晶の塊ができてしまい、「通風結節」といわれるものが起こります。

この段階になると、尿路結石や血尿などを発症し、腎不全、動脈硬化、脳卒中、心筋梗塞など深刻な病気が高い確率で起こってしまうことになります。

初期の段階において、足の親指の付け根などの関節が赤く腫れて触ると痛みを感じるなどしたら「通風」を疑いましょう。

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4)痛風の主な3つの原因

通風とは、「高尿酸血症」という病症名です。激しい痛みを伴う発作はこの病気が原因で関節内に溜まった「尿酸」の結晶により炎症を起こすものです。

では、尿酸とはどんな物質なのか? 私たちの身体は約60兆個の細胞から成り立っています。その細胞のひとつに核酸があり、その核酸を構成するひとつがプリン体と呼ばれる

成分です。古くなった細胞が壊され、核酸が分解する過程でプリン体が分解されて尿酸が作られます。

尿酸とは、細胞の新陳代謝によって発生する、体内ではもうこれ以上分解することができない最終代謝産物の物質なのです。

プリン体は、血液中を通り肝臓に集められて尿酸となります。尿酸は尿に溶けて排泄されて体内の尿酸量は一定に保たれていますが、何らかの要因によって過剰に増えすぎると「通風」を発症するのです。

通風を発症するにはいくつかの原因が考えられます。

(1)精神的なストレスに

仕事が忙しく精神的なストレスを強く抱えていたりすると尿酸値が高くなります。

(2)生活習慣や激しい運動による

エアコンなどで身体を冷しすぎてしまったり、激しい運動などや筋力トレーニングなどの無酸素運動では尿酸値が上がり、大量の乳酸を発生させて尿酸の排泄を妨げてしまいます。

(3)暴飲暴食や過度のアルコール摂取

前述したプリン体は、食物特に動物性食品や高エネルギー食品、アルコール類やビールなどに多く含まれています。

このプリン体を多く含む食べ物やアルコール類の飲み過ぎによって通風の原因となります。特にアルコールが肝臓で代謝される過程で生まれる疲労物質の乳酸という成分があります。

この乳酸は尿酸の排泄を妨げる作用があるので、多量のアルコール摂取や激しい運動の後では尿酸値が高くなり大量の乳酸を生じてしまうのです。

5)痛風への4つの検査方法とは

通常、通風であるかどうかの診断を受ける為には病院で検査を受けます。この場合小規模の医院などでは行えない検査があるので、ある程度設備の整った総合病院の内科が良いでしょう。

(1)血液検査

通風は、血液中に尿酸が多く増えすぎたことによって発症しますので、「尿酸値」「血沈」「CRP(C反応性たんぱく)」も調べます。

血沈は、赤血球が沈むスピードを測り、CRPは炎症が起こっている場合には血液中にタンパク質が増えます。

これらによって炎症の有無を確認することが出来ます。採取した血液中の尿酸値が7㎎/d1 以上であれば、高尿酸血症になります。

(2)尿検査

尿検査では、尿タンパクや潜血反応(尿中に血液が混入していないか)を調べます。

タンパク質が混ざっていれば腎臓や尿細管に異常があり、潜血反応があれば腎臓や尿路に何らかの異常がある可能性があります。

尿検査を受ける場合は、検査の数日前からプリン体の多い食品の摂取を極力控え、アルコールの摂取をせず、当日には絶食する必要があります。

(3)レントゲン検査

通風の発作が起こっている箇所の確認や、骨や関節が変形していないかなどを調べます。

(4)尿酸値が高くなった原因を調べる検査

尿酸値が高くなる原因は、「尿酸が過剰に作られている」「腎臓から尿酸がうまく排泄されていない」場合と両者が混同している場合の3つがあります。

薬物療法を行う場合、どの様な尿酸下降薬を使用するかの判断のために以下の様な原因をつきとめるための検査をします。

「尿酸クリアランス検査」

血液中と尿中の濃度を測定し、計算して尿酸が血液中から尿中へどの程度排泄されるかを調べます。

「尿中尿酸量検査」

排泄する尿をある一定の時間貯めておき、尿酸が1日にどのくらい排泄されているかを調べます。

この検査によって肝臓で作られる尿酸の量が適切であるかを調べることが出来ます。

通風と診断されれば、その治療は割合長期間に及びます。治療費の総額としてはかなりの額に及ぶことを覚悟した方が良いでしょう。

検査費用としては、初診料などを除けば保健の適用などで自己負担は3千円から5千円程度と考えて下さい。

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6)痛風の2つの治療法とは

通風の治療としては、「通風関節炎の治療」と「高尿酸血症の治療」の2つに大別されます。

基本的には、まず第一に通風の発作を抑えること、次に尿酸値を下げる薬物投与を行い、合併症の予防をします。

(1)通風関節炎の治療

通風関節炎の治療としては、急性の発作を抑え、慢性の炎症を予防するのを目的とします。風に当たっても痛いとされる激痛を抑えるための対処療法として主に薬物治療を行います。

発作の前兆がみられた時に服用する薬と、発作が起きてしまった時に服用する薬と2種類が使い分けられます。

痛風関節炎には原則的に非ステロイド抗炎症薬が用いられます。

発作が治まった段階で、尿酸値を下げる薬物療法を中心に、食事療法や運動療法を取り入れながら生活改善を目的とした治療を約3~6か月程に渡って続けます。

使用する薬剤は病状と症状の進行度合いによって異なります。

(2)高尿酸血症の治療

高尿酸血症の治療は、通風関節症の慢性化を予防し、尿路結石や通風腎などの臓器障害を予防するために行います。

治療目標は血清尿酸値 6.0mg/dl 以下です。尿酸降下薬は長期間において服用が必要です。血清尿酸値のコントロール状況と副作用のチェックの為にも定期的に血液・尿検査を行う必要があります。

・血清尿酸値

8.0mg/dl 未満の場合には生活改善の方法の指導のみで経過を観察します。

血清尿酸値が 8.0mg/dl 以上の場合において合併する病態(肥満、高血圧症、高脂血症、虚血性疾患、耐糖能異常など)がある場合は薬物治療を行います。

・血清尿酸値

9.0mg/dl 以上の場合には薬物治療を行います。通風の治療については、基本的に自己管理が重要です。医師による治療や薬物投薬はそれを助ける為のものと思って下さい。

・治療費の目安

治療費は検査費用と投薬料が主なものです。

初診料は最初の月で約15,000円で、自己負担額は約4,500円程度でしょう。再診の場合でも自己負担額は、約4,000円程度です。

7)痛風改善に効果的な4つの食材

通風の予防として、プリン体を含む食物はなるべく摂取するのを控えるのが効果があると前述しました。

近年、尿酸やプリン塩基を分解する成分を含む食物を摂るなどすると、予防に効果的な方法の研究が進んできました。

では、どの様な食物が効果が期待できるのでしょうか。

(1)野菜類

ほうれん草、ごぼう、人参、じゃがいも、里芋、キャベツ、アスパラガスなど。

緑黄色野菜は尿酸を体外に排出する役目をするアルカリ性の食物です。こうしたアルカリ性の野菜を積極的に摂ることで尿をアルカリ性に近くすることにより尿酸を溶けやすくします。

生活習慣病にも効果があるとされる玉ねぎもおすすめです。

(2)海藻類

ひじき、若布、昆布などの海藻類は、尿をアルカリ性にするだけでなく、尿酸を生成する酵素の働きを弱める「葉酸」を多く含んでいて尿酸値を低く抑えるアルカリ性食物として効果が期待できます。

海藻サラダなどにして美味しく食べて尿酸値を低下させましょう。

(3)果物類

メロン、バナナ、グレープフルーツ、アメリカンチェリーなどの果物類も効果的です。

メリカンチェリーに含まれている色素の「アントシアニン」には、尿酸値を下げ、関節の炎症を緩和する効果があるとされています。

(4)プリン体の少ない鶏卵

卵というとコレストロールを含み、通風の治療にはNGというイメージがあるのですが、本当はプリン体の少ない食物のひとつなのです。

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8)通風に効果のある食物の摂り方

暴飲暴食は危険と前述しました。成人が1日に摂るカロリーの目安は、1800~2200㌔カロリーとされています。

年齢や身長、日々の運動量によって違いがありますが、これが基準数値ですので大きく超えないことが望ましいのです。

(1)主食

主食は、250㌔カロリー前後を目安としましょう。ごはんならご飯茶碗一杯(約150g)、食パンでは6枚切り1枚が約160㌔カロリーです。

(2)主菜

主菜は、1人前の目安として80gが適当です。肉類などは脂肪分の多い食材ですが、蛋白質も多く含まれています。部位や量に気をつけて食べましょう。

肉類を食べる時はサラダなど野菜類も副菜として摂るようにしましょう。

(3)副菜

副菜は、尿をアルカリ化してくれる野菜や海藻類を摂るようにしましょう。その上で、”同じ食材を主材料にしない””主菜と同じ調理法にしてはならない”の2つを守る様にして下さい。

例えば、副菜、副々菜、主菜の付け合せを全て同じ野菜づくしにしたり、主菜、副菜を同じ調理法(例:揚げ物など)にしたりしないことです。

(4)料理法

料理法として、プリン体は水溶性ですので、煮たり茹でたりすると水に溶け出すので、摂取量を減らすことができます。

同様な食品でもこの様な料理法をする様にしましょう。但し、鍋物などの煮汁などはプリン体が多く溶け出していますので飲んだりしない様に気をつけましょう。

尿酸は尿から排泄されますから、尿の量が多いほどたくさんの尿酸が排出されます。

ですから、尿酸値の高い方ほど「お茶」など水分を多めにとる様にして尿の量を増やして尿酸を少しでも多く体外に排泄する様にすると良いでしょう。

9)日常生活からできる痛風への5つの予防ポイント

現代では日本人男性の3~5人に1人が通風予備軍とされています。

その要因として食生活の欧米化やストレスなどによるものとされていますが、通風は日常生活の習慣によって予防することができるのです。その具体的なポイントを挙げてみました。

(1)毎日の食生活の改善

通風の原因となるプリン体を多く含む食材を摂り過ぎない様に心がけ、1日の摂取量の上限値である400㎎を上回ることのない様にすることです。

アルコール類の摂り過ぎにも気をつけましょう。

(2)適度の運動

肥満気味の方は尿酸の排泄が低下しますので、尿酸値が高くなる傾向にあります。特に内臓に脂肪が付きすぎている方は注意が必要です。

食事制限と適度な運動を行う様にしましょう。但し、激しい運動は逆効果ですよ。

(3)生活習慣の改善

暴飲暴食、アルコールの摂り過ぎ、過度のストレスを抱える、睡眠不足や喫煙などは尿酸値が高くなる原因です。

自分自身で自覚して問題点を良く把握して、改善していくことが必要です。

(4)サプリメント

尿酸の排出を促したり、抗炎症作用を抑制するために効果が期待できるサプリメントや漢方薬も少なからず有ります。

割合手軽に手に入りますので、他の予防法との併用して取り入れても良いでしょう。

(5)治療薬を服用

予防というよりも治療のひとつです。発作の痛みを軽減したり、発作自体を抑えるものと、尿酸値を下げるものとの2つに別けられます。服用するには医師との相談が不可欠です。






今回のまとめ

1)通風とはどんな病気か

2)痛風の前触れの3つの状態とは

3)痛風の初期・中期・末期 それぞれの3つの症状とは

4)痛風の主な3つの原因とは

5)痛風への4つの検査方法とは

6)痛風の2つの治療法とは

7)痛風改善に効果的な4つの食材とは

8)通風に効果のある食物の摂り方

9)日常生活からできる痛風への5つの予防ポイント

通風を発症すると、心筋梗塞や脳梗塞になりやすいリスクが高くなります。すなわち合併症を併発しやすいということです。

通風の徴候がみられたら自己判断せずに、早めに医師の診断を受けて治療のきっかけを早く掴みましょう。もちろん日常生活においても改善の努力が必要です。