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2015年糖尿病の有病者数は4億1500万人にのぼり昨年より2830万人も増えています。糖尿病はその後の合併症が恐ろしいと言われます。

今回は糖尿病の三大合併症の種類と症状、原因から対処方法まで詳しくお伝えをしていきます。



糖尿病の三大合併症解説!2つの前兆とは


1)糖尿病の4つの種類とは

(1)1型糖尿病

インスリンをつくっているすい臓のβ細胞が壊れてしまうタイプです。自分の体内でインスリンをつくりだすことができなかったり、ごくわずかしかつくれないので、体の外からのインスリン補給(インスリン注射)が絶対的に必要となります。

子どもの糖尿病の多くは1型糖尿病ですが、最近では、あらゆる年齢層に起こる可能性があるとされていて、突然発症する傾向があるようです。

(2)2型糖尿病

すい臓がつくるインスリンの量が少ない場合と、インスリンの働きが悪い場合、その両方が混ざって発症するタイプです。日本人の成人の糖尿病の約95%がこのタイプにあてはまります。

自覚症状がないため、会社などの健診でみつかることが多いようです。以前は、中高年の人に発症することがほとんどでしたが、食生活をはじめとするライフスタイルの欧米化により、今では若い人や子どもにも増えています。

発症に関係する危険因子は、年齢、肥満、飲酒、喫煙、運動不足、遺伝、高血圧、ストレスなどです。高血圧や高血圧に近い血圧値を示す人は、血圧が正常な人に比べて糖尿病を合併する割合が高いことが報告されています。

脂質異常症(高脂血症)に糖尿病を合併すると、脳卒中、狭心症や心筋梗塞などが起こるリスクが高まります。

(3)特定の原因によるその他の型の糖尿病

膵β細胞機能やインスリン作用にかかわる遺伝子に異常があるもの、ほかの疾患(内分泌疾患、膵外分泌疾患、肝疾患)や、ステロイドの服用などにともなって発症するものが該当します。

(4)妊娠糖尿病

妊娠をきっかけに、血糖値が高くなるなどの糖尿病の症状があらわれるのが妊娠糖尿病です。しかし、妊娠前からすでに糖尿病と診断されている患者さんは妊娠糖尿病とは呼びません。

2)糖尿病の三大合併症とは

(1)糖尿病神経障害

この神経障害は糖尿病の合併症の中でも最も早く起こってくるものです。

神経細胞への血流が滞ることで、手や足の神経障害が起き、手足のしびれや痛みがでてきますが、痛みを感じにくくなっていて気づかない場合もあり、ヤケドやちょっとした足の傷に気がつかず、感染が進んで足を切り落とさなければいけない事態もでてきます。

足をこまめにチェックし異常があったらすぐに受診するようにしましょう。

(2)糖尿病網膜症

目の網膜にある血管が弱くなり、視力が落ち、進行すると失明する場合もあります。

網膜内の細い血管の血流が滞ると、酸素などが上手く運べなくなるので、これを補おうとして小さな血管が新たに網膜にできてきます。

しかし、急にできたものなので弱く破れやすい状態です。それが原因で網膜がはがれやすくなります。

目の前に黒いゴミのようなものがちらついたり、視界の一部にカーテンがかかったような自覚症状が出てきたりします。

(3)糖尿病腎症

腎臓の中にある毛細血管がもろくなり、だんだん尿が作れなくなります。腎症としての自覚症状は、はじめのうちは現れにくいですが、尿検査用試験紙で尿蛋白が陽性に出るようになります。

悪化すると人工透析(機器で血液の不要成分をろ過するもの)が必要になったりします。腎不全になると糖尿病の食事療法以外に、腎不全に対する食事療法も考慮しないといけなくなります。

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3)三大合併症以外の合併症一覧

(1)太い血管の動脈硬化による障害(脳梗塞・心筋梗塞・狭心症等)

太い血管が動脈硬化により血流が途絶えたり、血栓がつまることで梗塞などの重篤な合併症状がでてきます。

高血糖により傷ついた太い血管の内側にコレステロール等が蓄積し、血管が細くなり血流障害が起こります。

主なものとしては、動脈硬化からくる脳梗塞、心筋梗塞、狭心症があります。糖尿病に加えて、肥満・脂質異常症・高血圧があると動脈硬化を起こすリスクが高くなるので注意が必要です。

(2)その他の糖尿病合併障害

他にも糖尿病の人が合併しやすい疾患・症状があります。

感染症(肺結核・尿路感染症・皮膚感染症等)

糖尿病の人は、白血球(特に好中球と呼ばれるもの)の働きが弱くなり、感染症を併発しやすいと言われています。

認知症

高齢者の場合、糖尿病の人はアルツハイマー型認知症、脳血管性認知症になる危険性が、糖尿病でない人の2~4倍と言われています。

脳血管に対する影響の他、インスリンが及ぼす作用が弱くなり、脳のエネルギー代謝が低下し神経細胞が死滅することから認知症が起こると言われています。

歯周病

歯周病の2大危険因子と呼ばれているもの、それは喫煙と糖尿病です。白血球の働きが弱くなり、歯茎の血管ももろくなると、歯周ポケットにいる細菌による歯茎の炎症が起こりやすくなるからです。

歯周病の改善も合わせて行うようにします。

4)三大合併症の2つの前兆

(1)足の先や裏の痛みやしびれ

「糖尿病性神経障害に伴う症状」は、足の先や裏の「痛み」や「しびれ」などの感覚異常から始まります。手の指は、初期には無症状のことが多く、進行すると感覚の異常があらわれます。

(2)尿の泡立ち

トイレで排尿したときに泡立ち、その泡がいつまでも消えないときはタンパクが尿に漏れ出ている可能性もあり、腎臓病を疑ってみることも必要です。

また、糖尿病網膜症の怖さは、自覚症状がないまま進むことです。糖尿病の合併症は、高血糖によって血管が傷めつけられることが原因です。

網膜には高血糖の影響を受けやすい細い血管が張り巡らされているため、糖尿病では特徴的な変化が現れてきます。単純網膜症、増殖前網膜症、増殖網膜症という順番を経て進行します。

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5)三大合併症の10の検査方法

(1)糖尿病網膜症

高血糖が続くと、網膜内の血管が障害されて、出血などを起こす糖尿病網膜症や、緑内障が起こったり、糖尿病でない人に比べて早くに白内障が起こり、視力の低下や失明に至ります。

1.眼底検査

2.視力検査

3.視野測定

進行の度合いによって、単純網膜症初期までは年に1回、単純網膜症中期は3~6ヵ月に1回、増殖前網膜症になると1~2ヵ月に1回の間隔で検査が必要になります。

目の合併症に関しては内科と眼科が連携して治療にあたることが必要です。内科と眼科と別々の医療機関で受診する場合は、「糖尿病手帳」にそれぞれのデータを記入してもらって、両方の医師にみてもらうとよいでしょう。糖尿病手帳は、ほとんどの内科主治医から、無料で提供してもらえます。

(2)糖尿病腎症

糖尿病になると、腎臓でろ過の役割をしている糸球体の毛細血管がそこなわれて、腎臓のろ過機能に障害が起こるため、塩分やタンパク質の摂取量が厳しく制限された食事療法が必要になります。さらに症状が進むと腎不全となり、機械で血液をろ過する人工透析が必要になりますが、1週間に3~4回、1回の治療時間は4~5時間かかるなど、患者さんの時間的・体力的・精神的・金銭的負担はかなり大きくなります。糖尿病腎症は、患者さんの寿命にも影響する病気なので、きちんと検査を受けて経過をみていくことが大切です。

1.尿中微量アルブミン検査

より早い段階での腎症発見の指標として利用します。アルブミンはタンパク質の一種で、1日あたり尿中に30mg以上でていると糖尿病による早期の腎障害が疑われます。

2.尿タンパク検査

タンパク尿がでているかどうかを調べる検査です。尿中にタンパク質が1日あたり、500mg以上でていると糖尿病による腎障害の進行が疑われます。

3.クレアチニンクリアランス検査

体にたまった不要なものを、尿に溶かしてどれだけ排泄できるかを調べます。クレアチニンは血液中に存在する物質で、尿中に排泄されます。一定時間内の血中と尿中のクレアチニン濃度を測定することによって腎機能の指標になります。

(3)糖尿病神経障害

高血糖が続くと、自律神経に障害が起こるため、ちょっとした足の傷や、ヤケドに気づかないほど、痛みを感じにくくなります。傷が壊疽になってはじめて気づいたときには手遅れで、足の切断に至るケースもあります。

1.腱反射テスト

ゴムのハンマーで、立てひざの状態でアキレス腱を叩いたり、椅子に腰掛けた状態でひざのお皿の下を軽く叩いて、足が跳ね上がるかどうかを調べる検査です。

2.振動覚検査

振動を起こした音叉をくるぶしの上にのせて、振動の感じ方を調べる検査です。

3.知覚検査

皮膚をフィラメントという細長い繊維で軽くつついて、それを感じるかどうかを調べる検査です。

4.神経伝導検査

刺激した後に神経に伝わる波の速さや大きさを、電気的に調べる特殊な検査です。

6)三大合併症の2つの治療方法とは

どんな病気にも言えますが、神経障害も、早期発見・早期治療が大切。

(1)血糖コントロール

糖尿病治療の基本であるカロリーや栄養バランスを守った食事や運動を習慣づけ、血糖値を安定させるようにしましょう。

また、運動は血糖値コントロールのみならず、血流増加を促すことなどから神経障害予防の効果があることが分かっています。

(2)薬物療法

また、病状によっては神経障害に対する薬物療法も行われます。

神経障害はソルビトールが神経に蓄積すること(ポリオール代謝異常)で起こりますが、ソルビトールの生成を抑え蓄積を防ぐ薬(アルドース還元酵素阻害薬)を使って治療が行われます。

血流を改善する薬を使って、神経への血流を増やし、栄養や酸素をしっかり供給することで症状の改善を図る場合もあります。

経障害による不快感に対しては、症状を緩和する目的で、鎮痛剤や整腸薬などの薬が使われます。

診察を行う医師

7)三大合併症の改善に必要な2つの栄養素

腎症の進行を防ぐには、糖尿病の治療(血糖コントロール)のための食事療法に加え、たんぱく質や食塩の摂取を控えて腎臓の負担を少なくする、腎症治療のための食事療法が重要になります。

(1)炭水化物

(2)脂質

たんぱく質は、血液や筋肉を作り出すなど、栄養素としての役割があります。

一方、ヒトのからだはエネルギーの補給を最優先させますので、炭水化物や脂質によるエネルギーの補給が十分でないと、たんぱく質が本来の目的に使われずに、エネルギー源として利用されてしまいます。

それを防ぐために、必要な炭水化物・脂質は十分に摂らなければいけません。炭水化物と脂質を増やすことで、たんぱく質は栄養素として効率的に活用され、腎臓に余計な負担をかけずにすむようになります。

炭水化物を増やすことで血糖コントロールが乱れるようなら、薬物療法など他の方法でコントロールします。

8)三大合併症の5つの予防ポイント

(1)定期的に検査を受ける(月1回)

まずは、専門家による合併症予防のためのチェックを定期的に行うことが大切です。

専門の先生が、個人個人の状態や経緯に合わせて、血糖コントロールの目標を定め、定期的にその都度、適切なアドバイスを受けられたり、質問することができます。

また、血糖値をチェックしてもらっているという安心感にもつながります。

(2)食事療法を守る

カロリーオーバーをすることなく、野菜を多く、脂肪・塩分を少なくバランスの良い食事を続けることが大切です。毎日体重をチェックするのも意識づけとして良いでしょう。

(3)運動をする

毎日1時間程度の運動をする2型糖尿病患者さんは、しない患者さんと比べて死亡リスクや脳卒中の発症リスクがほぼ半減すると言われています。

無理をせずに運動して糖を消費することは有効な合併症予防法にもなります。

(4)足を毎日チェックする

神経障害で症状が出やすい足をこまめにチェックし、異常があったら受診するようにします。

(5)禁煙・リラックス・歯磨き

喫煙やストレス・緊張は、血管にダメージを与え糖尿病の合併症のリスクを上昇させます。禁煙やリラックスをすることでそのリスクを抑えることができます。

その他、毎日の歯磨きによる歯周病予防対策も忘れずに行います。



今回のまとめ

1)糖尿病の4つの種類とは

2)糖尿病の三大合併症とは

3) 三大合併症以外の合併症一覧

4) 三大合併症の2つの前兆とは

5)三大合併症の10の検査方法とは

6)三大合併症の2つの治療方法とは

7)三大合併症の改善に必要な2つの栄養素とは

8)三大合併症の5つの予防ポイントとは