検査を行う医者

耳馴染みのある糖尿病という病気は周囲にかかったと聞いたことのある方も多いのではないでしょうか。しかし具体的に糖尿病とはどのような病気なのか知らない方もいるでしょう。

今回は糖尿病の基礎知識と検査方法治療方法などお伝えします。






糖尿病早期発見!3つの検査方法と判断基準


1)糖尿病の5つの種類とは

現在は国民病ともいえる糖尿病にはいくつか種類があることをご存知ですか?

(1)1型糖尿病

子供が多くかかる糖尿病です。インスリンの作っているすい臓のβ細胞が異常をきたしたり破壊されたりすることで、自らの体内からインスリンを作り出すことができなくなってしまいます。そのためインスリンの注射による補給は絶対に欠かせなくなってしまいます。

本来子供がかかるものとされていましたが、現在では年齢問わずかかる傾向になってきました。発病の傾向として突発的に起こります。

(2)2型糖尿病

日本の成人がかかる糖尿病の約95%がこの2型です。

すい臓からのインスリンが少なくなってしまったり、インスリンが本来の働きをしなくなったりして発症します。

自覚症状がないので健康診断で発見されることが多くあります。中高年がかかることの多いタイプですが、近年の食生活などの欧米化などにより若年層での発症も見られるようになりました。

(3)遺伝子の異常からくる糖尿病

膵β細胞機能やインスリンの作用に関係している遺伝子になんらかの異常があると発症する糖尿病です。

(4)他の疾患から併発した糖尿病

内分泌疾患や肝疾患などの病気から併発するものや、ステロイドを服用したことによる副作用として糖尿病になる場合があります。

(5)妊娠糖尿病

妊娠したことにより、血糖値が高くなり糖尿病の症状が出るのが妊娠糖尿病とされるものです。ただし妊娠前に糖尿病と診断されていた場合はこれに当該しません。

2)糖尿病の前兆とは

(1)目立った自覚症状はほぼない

糖尿病のやっかいなところは症状が進行しても自覚症状がほとんどないということです。そのために気がつくとなっていたということがほとんどです。

(2)疲れやすくなる・急に痩せる

糖尿病になると疲れやすくなったり急に痩せてしまうなどがあり、診断によって初めて糖尿病と判明したということがほとんどです。

(3)合併症の検査で判明するケースも

もしくは糖尿病が誘発する合併症の治療のために検査して初めて糖尿病と判明したということも多くあります。

3)糖尿病になった時の2つの症状

糖尿病になってしまうとどのような症状が出るのでしょうか。それは大きくふたつに分けられます。

(1)血管病になる

血液が高い血糖値のまま過ごしていると、血管が弱りボロボロになってしまいます。それにより全身の各部に適切な栄養配分がされなくなってしまいます。

その結果、慢性合併症を引き起こします。

糖尿病網膜症、糖尿病腎症、糖尿病神経障害、脳梗塞、狭心症などの心臓関係の疾患、さらに糖尿病性足病変、歯周病、認知症にまで至ります。

慢性とあるように死ぬまでこれらの病気とつきあっていかなければいけません。

(2)インスリン不足による合併症になる

インスリン不足による急性の合併症には、糖尿病ケトアシドーシス、高浸透高血糖症候群、感染症などが代表的なものとなっています。

インスリン不足からのものなので早期に糖尿病を検査で発見すれば、インスリン注射によって予防が可能ですが、検査による発見が遅れた場合、これらも慢性化してしまいます。

Female doctor making notes

4)糖尿病の3つの検査方法

糖尿病を検査する場合、大きく分けて3段階に分かれます。

(1)問診

まずは問診から始まります。健康診断のような定期的な検査を行なうと早期発見につながります。この時点では糖尿病の疑いがある、という段階なので本格的な検査の前に問診を行います。

遺伝子に糖尿病の因子がないか確認

家族などに糖尿病患者がいるかいないか。もしくは肥満の方がいないか。

環境を調べる

糖尿病になりやすい環境にあるかどうかを確認します。

食生活やお酒を飲み過ぎてないかなどの生活環境を確認します。睡眠不足や運動不足でないか、過去太っていなかったかなどを聞き取ります。

自覚症状について確認

糖尿病になると起こりやすい状態を確認します。

喉がかわきやすい。最近痩せてきた。疲れやすくないか。めまいがするほど空腹感を感じたことはないか。トイレが近くはないか。

これらに当てはまらないか聞き取ります。

糖尿病にかかりやすくなる病気、女性の場合は妊娠していないか確認

すい臓、肝臓病、内分泌の病気ではないか。過去に胃を切断したことはないか。妊娠時に尿糖陽性だったり妊娠糖尿病でなかったか。

合併症の有無を確認

以下に挙げる症状があると合併症である大血管障害や神経障害などが発症している可能性があります。手足にしびれがある。皮膚に触れた時違和感はないか。目が見えにくと感じたことはあるか。顔や手足にむくみがあるかどうか。

これらのような問診を本格的な検査の前に確認します。

(2)血液検査

糖尿病かどうかを検査する血液検査には3つの種類のものがあります。

これは血液中にどれくらいブドウ糖があるのかを調べるものです。それを計るタイミングによって3つの種類の検査に分けられています。

随時血糖検査

食後、特に時間を決めずに採血します。

その血糖値がつねに200ml/dlある場合は糖尿病型と診断されます。

早朝空腹時血糖検査

検査の日の朝から朝食を抜き、空腹状態で採血し血糖値を検査します。早朝空腹時血糖検査では血糖値が126mg/dlある場合に糖尿病型と診断されます。

75gOTT(75g経口ブドウ糖負荷試験)

検査日の朝まで10時間以上絶食した空腹状態で行います。採血をし、血糖値を計ります。

次にブドウ糖液(ブドウ糖を78gを水に溶かしたもの、もしくはデンプン分解産物相当量のもの)を飲んで、30分、1時間、2時間と間隔を開けて採血します。

この2時間後の採血で200mg/dlの数値が出た場合に糖尿病型と診断されます。

ただしすでに糖尿病の自覚症状のある方にこの検査を行なうとさらに高血糖状態を引き起こすリスクが考えられるので、行われません。

(3)糖尿病治療中の検査

糖尿病治療中の検査も同じく血液検査によって行われますが、本来のライフスタイルを反映するために検査前に食事を控えるなどというようなことはいたしません。

この場合は、ここ1~2ヶ月の平均血糖値を反映させた検査をします。この数値により患者のライフスタイルを把握しやすくなり、医師も患者も検査によってどのように生活を変えていけば良いのかわかりやすくなります。治療の方法性を確認するためにも治療中の血糖値の検査は非常に大事です。

血糖自己測定

患者自身で自分の指先から採血をし血糖値を測定します。食前食後を中心にして1日に数回検査するのが通常です。インスリンによる治療中に行われ、その作用を確認するために行われます。また特に高い血糖値や低い血糖値にならないように観察するためでもあります。

尿糖検査

その日の尿を集め、尿糖の数値を検査します。1,5ーAGという簡便な検査が普及する前にはよく行われていましたが、現在では一般的にこの検査を行われることはなくなりました。

HbA1c{ヘモグロビン・エー・ワン・シー}(グリコヘモグロビン検査)

血中のヘモグロビンA1cという成分の量を検査します。通常の血液検査では採血時の血糖値しかわかりませんが、グリコヘモグロビン検査を行なうと、1~2ヶ月前に至る血糖値までわかるのです。

毎日の血糖値が高いほどグリコヘモグロビン数値は高くなります。食前食後の血糖値の変化にも影響されないのでグリコヘモグロビン数値で日頃の食生活がわかります。

基準値は4.3~5.8%となっています。

血清1,5ーAG検査

この検査は1,5AGという尿糖の数値を測定します。この糖は尿が出た時に糖と一緒にすぐに体中から出てしまい、その量が減るとすぐに体内で増加します。

そのため血糖値の変化を即座に測定でき、病状の先行指標になります。軽い糖尿病の検査によく使用されます。

基準値は14.0up/ml以上となっています。

グリコアルブミン検査

グリコヘモグロビン検査と似ていますが、より早く変化するのが特徴で、検査前の約2週間の平均血糖値がわかります。血糖値がいちじるしく高くなっている状態の時の検査で変化がわかりやすくなっています。

基準値は11~16%になっています。

5)検査で糖尿病と判断される数値とは

上記の4つの検査によって以下の数値である場合、いずれかひとつが確認された場合、糖尿病型と診断されます。ただし1~3どれかと4が確認されると糖尿病と診断されます。

(1)早朝空腹時血糖値が126mg/dl以上

(2)75gOTT2時間後の数値が200ml以上

(3)血糖値が随時200mg/dl以上

(4)HbA1c(JDC値)が6.1%以上

また検査の数値が次の2つの場合は正常型と診断されます。

(1)早朝空腹時血糖値110mg/dl未満

(2)75gOTT2時間後140mg/dl未満

検査の結果、上記の正常型にも糖尿病型にも当てはまらない場合、境界型と診断されます。

境界型は決して健康であるということではなく、現在のライフスタイルを続けていると将来糖尿病になりやすいということを意味しています。

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6)糖尿病の3つの治療方法

糖尿病は生活習慣からくる病ですので、その治療は生活習慣を改善することから始まります。

(1)食事療法

そもそも糖尿病はすい臓などの異常による体内のインスリンの不足もしくは働かなくなったことにより、血中の血糖値が高くなることで体内で異常を起こし、合併症を引き起こす病です。ですから血糖値を上がらないよう食べるものをコントロールする必要があります。

バランスの良い食生活はもちろんですが、もっともわかりやすい目安として一日の摂取カロリーを規定以内に抑えるということが大事です。

適切なエネルギー量=標準体重×身体活動量で求められます。標準体重は身長×身長×22で求められます。

(例:身長160cmの場合 1.6×1.6×22=56.32kg)

身体活動量の目安としては

軽労働 25~30kcal/kg標準体重

普通の労働 30~35cal/kg標準体重

重い労働 35~kcal/kg標準体重

(2)運動療法

糖尿病の95%をしめる2型糖尿病の原因は運動不足や肥満、過食などとされています。

運動によってエネルギーを消費し、肥満を解消することを目指しましょう。また運動を毎日することによって低下していたインスリンの活動も活発になってきます。さらに食事の1時間後に運動をすると血糖値が下がります。

1型の場合、インスリンを作り出す機能自体が壊れているため、運動療法による治療効果は望めませんが、筋力アップやストレス解消に役立ちます。

運動すれば食べて良いということではなく、食事療法と運動療法の両方の療法を行なうことが大事です。

(3)薬物療法

糖尿病の治療薬には経口血糖降下薬とインスリンが主に使用されますが、糖尿病の治療では基本的に食事療法と運動療法によって行われます。

1型糖尿病の場合はインスリン注射が必須ですが、それ以外の薬はその時々の病状に応じて処方されます。

7)糖尿病の3つの予防ポイント

糖尿病の予防のポイントはふたつにわけられます。

(1)運動を心がける

運動不足や肥満は糖尿病になりやすくなります。適度な運動で体重の増加を抑えましょう。

(2)カロリー控えめの食事を摂る

なにごとも腹8分目です。カロリーの過剰摂取につながる揚げ物や肉類などは減らし、蒸し物や茹で物、野菜や魚をメインにした食事を摂りましょう。糖尿病を予防するために食生活を見直すことは大事です。

我々日本人は欧米人と違い元々インスリンを分泌したり作用する力が弱いのです。欧米型の食生活は日本人には摂取する糖分が多すぎるのです。

食事をする時、気をつけるのはカロリーです。摂取したカロリーはその分多くの糖分を含むことになります。これを気をつけるだけで糖尿病の予防にかなり有効です。

ちなみ、糖尿病の予防に良いとされる食品はありません。それよりもバランス良く多くの品目を食べるようにしましょう。

大事なのはあくまでもバランスで、摂り過ぎも食べなさ過ぎもよろしくありません。






今回のまとめ

1)糖尿病には1型と2型がある

2)1型はインスリンを作る機能が支障を来したことが原因

3)2型は糖尿病患者の95%を占める

4)2型の原因は食べ過ぎや飲み過ぎなどからくる肥満などである

5)糖尿病治療は食事療法と運動療法がメインで行われる

6)糖尿病の予防には控えめの食事と適度な運動が必要

現代病の代表ともいえる糖尿病は慢性の病です。つまり一度かかったら一生つきあっていかなければいけません。それを避けるためにも健康的な生活を送りましょう。