患者に薬の説明をするナース

19万6926人。これは平成26年度に心疾患で亡くなられた方の数です。現在、日本人の死因第2位である心臓病。今後の高齢化社会に伴い増加傾向にあります。今回は心臓病の特徴と初期・中期・末期症状、予防、治療方法などお伝えします。



心臓病の症状を解説!初期・中期・末期の10の症状とは


1)どんな種類があるの?心臓病の4つの種類と特徴とは

私たちの心臓は心筋という筋肉で出来ています。心臓は昼夜休むことなく規則正しいリズムで収縮と拡張を繰り返し、身体全体に酸素と栄養を含んだ血液を送るポンプの役割を果たしています。そして、その心臓の働きが正しく機能しなくなれば心臓病となります。

(1)心不全

心不全とは病名ではありませんが、なんらかの病気の症状として心臓の機能が低下した状態をいいます。機能が低下すると全身に十分に血液が送られない状態になります。血液が十分に行き渡らなければ、各細胞に必要とされる栄養も酸素も不足がちになります。

(2)心筋梗塞 

ポンプの役割をする心臓に酸素と栄養分を送るのが冠動脈です。心筋梗塞は、その冠動脈が血管の閉塞や狭窄等により詰まってしまい、心臓に酸素と栄養が届かなくなった結果、心筋の細胞が壊死するために発症します。

(3)狭心症  

狭心症は、大まかに2種類あり、体を動かしたときに起こる「労作狭心症」、安静(睡眠中も)にしているときに起こる「安静狭心症」があります。いずれも原因としては冠動脈が狭くなることで、心筋が必要とする酸素が不足するために発症します。

(4)不整脈  

通常、心臓の拍動(脈)は電気の刺激で起こり一定のリズムで動きます。不整脈とは、その電気の流れが乱れることで拍動(脈)が異常に速くなったり、遅くなったり、飛んでしまうなど乱れることをいいます。

2)自己チェック!心臓病の9つの前兆症状

(1)激しい痛み   

痛みは胸、あご、奥歯、首、背中などにあります。また人によって刺すような痛み、焼け付くような痛み、圧迫感、重苦しいなど感じ方に違いがあります。安静にして5分~10分以内で治まることもあれば、30分以上続くこともあります。

(2)不整脈   

血液を送り出すリズムが乱れます。

(3)息切れ  

心臓の機能が低下すると、身体の隅々まで酸素を十分に送れなくなるので安静時でも息切れを感じるようになります。

(4)動悸    

心筋が一過性の酸素不足に陥って平常時でも動悸がします。

(5)めまい・失神

めまいは、心臓から送り出される血液の量と圧力が不足します。ひどくなると失神します。

(6)むくみ

全身に必要量の血液を送ることができず、血流が悪くなり水分がたまりやすくなります。特に下肢によくみられ、指で押すと戻りにくくなります。またむくみにより体重が増えます。

(7)急な冷や汗

無痛性の場合、心臓の機能が低下したときに血流が滞るので血管が収縮し、汗だまりの血管も収縮するため、そこから汗が出てきます。

(8)吐き気

吐き気とめまいは同時に生じることが多いです。得に朝の吐き気は要注意です。

(9)こむら返り

心臓の機能が低下すると、下半身に血液を送る力が弱まり酸素不足になり、こむら返りが頻繁に生じます。

Man having leg massage

3)心臓病の初期・中期・末期の10の症状

初期症状 

(1)胸の痛み

(2)動悸

(3)息切れ

(4)不整脈

(5)むくみ

(6)疲れやすい

中期症状 

(1)安静時の息切れ

(2)夜間・明け方・運動時の咳

(3)体重の増減

末期   

(1)突然死

4)似ている病気とは?心臓病と似ている6つの症状と病名

(1)肋間神経痛

胸に突き刺すような激しい痛みや呼吸をするときに痛みます。

(2)胸膜炎

胸が激しく痛み、咳、息切れ、呼吸困難、発熱を伴います。

(3)心膜炎

胸の痛み、圧迫感を感じることもあります。発熱を伴います。

(4)心筋炎

心臓付近に鈍い痛みを感じます。不整脈が出ます。

(5)心臓神経症

動悸、息切れ、チクチクした左胸の痛み、呼吸困難、疲れやすくなります。

(6)パニック障害

動悸、息苦しい、胸が苦しくなったりします。

5)何が原因?心臓病の考えられる原因とは

先天性のものを除き、高血圧や動脈硬化、生活習慣病から起こります。

(1)過度のストレス

(2)過度の運動、運動不足

(3)偏った食生活

(4)喫煙

(5)肥満

(6)過度の飲酒

(7)加齢

Doctor and surgeon reading notes

6)気になる場合は専門家へ!心臓病への検査方法

心臓病の疑いがある場合は循環器内科(循環器科)で診察します。大きな手術が必要であれば、循環器外科になります。検査内容は、下記の項目をいくつか合わせて行います。

基本検査

(1)問診

(2)聴診

(3)身長・体重測定

(4)BMI 

(5)血圧

(6)眼圧

血液検査

(1)BNP

(2)HDLコレステロール

(3)AST(GOT)

(4)ALT(GPT)

(5)LDH

尿検査 

(1)微量アルブミン尿

(2)持続性タンパク尿

レントゲン検査 

(1)胸部レントゲン

心電図

(1)トレッドミル運動負荷

(2)エルゴメータ運動負荷

(3)ホルター心電図

超音波検査

(1)心エコー

(2)頸部エコー

画像診断

(1)MRI

(2)冠動脈CT

その他 

(1)心臓カテーテル検査

(2)心筋シンチグラム

(3)心筋梗塞マーカー検査(心筋梗塞の場合)

心臓病の疑いで診察を受ける場合は保険適用があり、初診料・診察代は別途かかります。心臓カテーテル検査などは、日帰り~3日程度までの入院検査となります。健康診断や人間ドックで受けられる心臓の検査は、血液検査、尿検査、血圧測定、心電図、胸部レントゲン検査などで実費となります。さらに心臓専門に検査する心臓ドッグのプランもあります。

費用は、こちらも保険適用ではなく、実費で通常5万円前後、検査項目によって3万~10万の開きがあるようです。心臓ドックで受けられる検査は、主に上記の内容が行われるようですが、施設によって、さまざまなプランがあるようなので確認が必要です。

7)どんな知慮が行われる?心臓病への治療方法とは

心臓病と診断された場合は、以下の治療方法があります。

薬物療法

(1)血管拡張薬 

(2)利尿薬

(3)強心薬  

(4)高血小板薬

(5)抗凝固薬

(6)抗不整脈薬

(7)抗高脂血症薬

(8)交感神経遮断薬

カテーテル治療

(9)カテーテルによる治療

足の付け根、手首、ひじなどにある動脈からカテーテルと呼ばれる細い管を入れ、狭くなったり詰まったりしている冠動脈を広げる治療法です。

外科治療

(10)冠動脈バイパス手術

(11)ペースメーカー植え込み手術

(12)弁形成術・弁置換術

(13)バチスタ手術

(14)人工心臓装着

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8)大切な治療後・・治療後の予後と生活とは?

治療後は再発防止のために生活習慣の改善を持続して行います。手術後は、社会復帰に向けてリハビリを行います。

(1)再発防止

喫煙や過度の飲酒を続けると再発率が高くなります。持続して生活改善を行い、定期的な検診を受けることが重要です。

(3)心臓リハビリテーション

心臓手術後は、運動能力・体力が低下しています。心臓リハビリテーションでは、体力を回復し社会復帰、再発予防、生活習慣の改善を目的としています。手術の日から150日間は心臓リハビリが健康保険が認められています。

・運動指導

・食事指導

・生活習慣改善指導

・服薬指導

・定期的な検診

・カウンセリング

9)日常生活から改善を!予防のポイントとは?

心臓病の多くは、動脈硬化、高血圧から始まります。生活習慣を見直すことが予防に繋がります。

(1)禁煙

タバコは心臓に負担をかけ、動脈硬化を引き起こします。ニコチンには血管収縮作用があり血流が悪くなります。また血圧を上昇させ心拍数を増やします。他にも血中の中性脂肪、悪玉コレステロールを増やします。一酸化炭素は赤血球のヘモグロビンと酸素の結合が妨げられ酸素を運びにくくします。他にも中性脂肪が多くなると善玉コレステロールが減り、増えた悪玉コレステロールが血液をドロドロにし、血管を詰まらせてしまいます。

(2)食事管理

・早食いをせず、ゆっくりとよく噛んで食べる

・夜10時以降の食事を避ける

・腹6分目~8分目を心がける

・減塩

・カフェインを取り過ぎない

・動物性たんぱく質を減らし、植物性たんぱく質を摂取する

・サバ、イワシ、アジなどのDHAやEPAが含まれる魚を取り入れる

・野菜・果物・海藻類・きのこ類・ナッツ類をバランス良く摂取する

・甘いものを控える

貝類、イカ、タコ、魚の血合いに多く含まれるタウリンが、高血圧や心臓病などの予防に効果があります。

(3)睡眠習慣

・睡眠時間6~8時間の質の良い睡眠を心がける

・寝る直前の食事、カフェイン、入浴、激しい運動、PC、スマートフォンなどは避ける

・寝る前は軽いストレッチをする

・安眠効果のあるハーブティなどを飲む

睡眠時間が少ないと心臓病のリスクが高まります。疲労が蓄積し高血圧や動脈硬化に繋がり心臓に負担をかけます。

また、朝は血圧が上昇するので、目覚めたらすぐに飛び起きず、ゆっくりと起き上がるよう心掛けます。

(4)入浴習慣

・食後すぐの入浴は避ける

・お湯の温度は37~40℃

・冬場の浴室と脱衣場の温度差をなくす

入浴は水圧がかかるため、血圧が上昇するので心臓に負担がかかります。入浴は疲労回復やリラックス、ストレス解消、血行促進に有効ですが、42℃以上の熱いお湯は血圧を上昇させます。

(5)適度な運動

・朝、寝る前の激しい運動は避ける

・過度な運動を避け、無酸素運動よりも有酸素運動をする

朝は血圧が上昇しやすい時間帯で、昼は高く、夕方はだんだんと下がります。症状によって、運動を制限しなければならないので、必ず医師との相談が必要です。

(6)適度な飲酒・もしくは禁酒

アルコールは作用血管を収縮させて血圧を上げたり、反対に、拡張させて血圧を下げたりします。アルコールの日々の摂取量が多く、長い期間飲み続けると血圧を上げ、高血圧の原因となります。そのため飲酒については症状に合わせて医師との相談が必要です。



今回のまとめ

1)心臓病は動脈硬化、高血圧から始まる

2)生活習慣の見直しをする

3)有酸素運動を取り入れる

4)治療後も再発防止に努める

5)予防、早期発見で重症化を防げる