会議を行う医師

推定患者数70万~100万人と言われる関節リウマチ。病名を聞くと、指の変形や、寝たきりになると絶望してしまう人もいるようですが、すぐにそうなるわけではありません。

今回はリウマチの遺伝の関係性や、種類や進行の段階などを簡単にごしょうかいします。






リウマチの遺伝の可能性!7割は環境要因


1)リウマチの代表的な6つの種類

リウマチとは、一般的に「関節リウマチ」のことを指しますが、関節や周辺の骨、筋肉などが痛む病気を広く指して言うこともあります。

(1)関節リウマチ

自己免疫疾患の1つで、「免疫の異常により、関節の向かい合う骨と骨の間にある滑膜という組織に炎症が生じる疾患」です。関節の炎症が中心ですが、微熱や倦怠感、疲労感、体重の減量が見られることもあります。

(2)全身性エリテマトーデス

原因不明の発熱や倦怠感、体重減量、顔や手足などにできる赤い斑点がみられ、全身の様々な臓器に病変が起こります。

(3)全身性強皮症

「皮膚が硬く、弾力を失ってもろくなっていく病気」で、内臓まで障害が及ぶ場合もあります。

(4)多発性筋炎・皮膚筋炎

「筋肉に炎症が起こり、収縮が困難になり、筋力が低下していく病気」です。

(5)変形性関節炎

「骨の痛みと共に変形が起こる病気」です。

(6)痛風

「尿酸などの物質が増え、結晶となることで激しい痛みが起こる」ものです。

この他にも、広義のリウマチには実に様々な病気が含まれますが、これからご説明するのは狭義のリウマチ、「関節リウマチ」についてです。

2)関節リウマチの4つの初期症状と進行過程 

関節リウマチと診断されても、すぐに関節の変形や破壊が起こるわけではありません。発症の段階をご説明します。

(1)4つの主な初期症状

以下のような症状があった際は、関節リウマチの可能性があります。

・朝起きた時に関節のこわばりが15分以上あり、1週間以上続いている

・1週間以上、手指の第2、第3以上の関節の腫れが続いている

・全身の3つ以上の関節の腫れが1週間以上続いている

・関節の腫れは紡錘状でやわらかい

初期段階としては、炎症により骨膜の細胞が増殖し、古くなった細胞を取り除く破骨細胞が活発化します。骨がすかすかになっていきます。

(2)進行期

軟骨や骨の組織が破壊されていきます。ここではまだ変形は起きません。

(3)高度期

軟骨が失われて骨と骨が直接こすれ合うため、関節がかみ合わず脱臼が起こることもあります。関節のまわりの腱や筋肉の動きが悪化、関節を支えられず変形が起こります。痛みのため、曲げ伸ばしができなくなります。

(4)末期

骨と骨がくっつく「強直」や、骨がとけて骨と骨が離れる、といった「ムチランス変形」になることもあります。

発病してからだいたい1~2年で骨が傷つくようになり、2~3年以内に破壊が進みます。5~10年位で段階的に変形していくとされています。

女性の方がかかりやすい

関節リウマチの男女比は1:4と女性の方が多く、30~50代で特に発病しやすくなっています。

これは女性ホルモンが複雑にかかわっているためで、女性ホルモンが直接発病を促すわけではありませんが、自己抗体や免疫反応を活発にするなどの性質があることからだと考えられています。

Female doctor making notes

3)関節リウマチの主な4つの原因

関節リウマチの原因はまだはっきりしていませんが、本来自分の体を守るはずの免疫機能が何らかの異常により自分の細胞や成分を攻撃する「自己免疫疾患」により起こると言われています。以下のようなリスク因子が影響すると考えられます。

(1)遺伝

必ずしも発病するわけではありませんが、なりやすい体質や素因を受け継ぐことがあります。

(2)リンパ球の異変

抗体をつくるリンパ球の遺伝子が突然変異を起こし、自分の成分を攻撃してしまうことがあります。また、ウイルス感染によりリンパ球による抗体づくりが活発になることがあります。

(3)薬物や化学物質

体内に入り体の中の成分と反応し成分の性質が変化すると、異物とみなされ自己免疫反応が出ることがあります。

(4)ストレス

精神的ストレスの他、妊娠や出産、手術、外傷といった身体的ストレスが要因になることもあります。

4)関節リウマチと遺伝の関係

(1)遺伝の影響は30%程度

遺伝により発症する場合はありますが、遺伝的な影響は30%程度であり、70%は後天的な要因により発症すると言われています。また、現段階では、遺伝的な要因のみで発症するとは言えないと考えられています。

(2)遺伝と環境の関係性

遺伝しやすい環境・遺伝されにくい環境とはなんでしょうか。

遺伝的要素は関節リウマチの発症に関係すると考えられていますが、遺伝だけが原因となって発生するわけではなく、環境要因(リンパ球の変異、薬物や化学物質、ストレス、喫煙など)が関わりあうことで発病します。

5)関節リウマチの3つの治療法

関節リウマチ治療は以下のような内容を組み合わせることで、改善を目指します。

(1)薬物療法関節の変形や破壊を防ぐ・痛みを和らげる)

炎症を引き起こす免疫システムをコントロールするものと、炎症や痛みをやわらげるものの2つのタイプがあります。

(2)リハビリテーション関節の機能を保つ)

関節の機能を保ち、筋力低下を防ぐ目的で行います。

(3)手術療法機能回復)

関節の痛みや腫れをやわらげる目的や、破壊され、運動機能が落ちた関節を再び動かせるよう、外科手術を行います。

Stethoscope in hands

6)関節リウマチの治療後の3つの予後

関節リウマチを発症すると関節は動かしにくくなりますが、そのままにすると骨や周囲にある筋肉、腱、靭帯などは弱ってしまいます。

また、骨の新陳代謝や必要な栄養や酸素の供給のためにも動かすことが重要です。そこで行うのがリハビリテーションです。その中にも様々な方法があります。

(1)物理療法

熱、水、光線といったエネルギーにより、血流を促進し痛みを和らげます。ホットパックや入浴、アイスマッサージなどです。

(2)運動療法

筋力の低下を防ぎ、関節の可動域が狭くなるのを防ぎます。体操や各種運動です。

(3)作業・装具療法

手先の機能維持や回復のために行われる手芸や木工、絵画といった作業療法や、装具をつけること自体で、関節を支えて負担を軽くしたり、安静を保つことで炎症をしずめ進行を遅くしたりする装具療法があります。

どのようなリハビリテーションが好ましいかはその人や病状により異なります。医師や専門家の指示に従いましょう。

手術や入院後の過ごし方

疲れがたまると再発しやすいため、手術による入院の後は無理をせず、よく休みをとることが大切です。また、処方された薬を忘れず正しく服用し続けることも大切です。

7)関節リウマチへの3つの予防ポイント

原因がはっきりとしておらず様々な要因が考えられるため、明確な予防ポイントはありませんが、以下のことには注意が必要です。

(1)喫煙

関節リウマチを発症する人の中で、喫煙者の割合が高いということが言われています。

(2)ストレス

ストレスを受けると免疫に異常をきたすことがあり、リウマチ発症の要因の一つになると考えられています。なるべく無理をし過ぎない、リフレッシュの時間を取り入れる、おいしいものを食べるなど、ストレス軽減に努めましょう。

(3)細菌に注意し清潔に

細菌やウイルスが発症要因となっている場合もあります。手洗い・うがい、歯磨きをきちんと行うよう心がけましょう。






今回のまとめ

(1) 関節リウマチには進行段階があり、長い時間をかけて骨の変形などに至る。早期発見、初期治療が大切。

(2)発症には①遺伝②リンパ球の異変③薬物や化学物質④ストレス などが関わっているとされている。

(3)遺伝も発病の一因とされるが、遺伝的要因のみで発病するのではない。

(4)治療には、①薬物療法②リハビリテーション③手術療法 といったものがある

(5)リハビリテーションには①物理療法②運動療法③作業・装具療法 といった中に様々手法があるが、実施する際には医師や専門家の指示に従う。

(6)喫煙、過剰なストレス、細菌に注意し、心身の健康と、清潔な生活が予防の第一歩である。

リウマチは早期発見・初期治療と根気強いリハビリテーションが大切です。気付いたら早めの対策を心がけましょう。