doctor with male patient

尿管結石は食の欧米化に伴い発症率が年々増加しています。「突然激しい痛みに襲われた」「あまりの痛さに救急車を呼んだ」という症状。

では、尿管結石はどのようにして身体の中で作られるのでしょうか。今回は尿管結石の原因やメカニズム、治療方法も含めてご紹介いたします。



尿管結石の7大原因!食事療法と検査方法とは


1)尿管結石の5つの代表的種類

尿には身体中から集められた老廃物や不要な成分が濃縮されています。その成分のバランスがなんらかの原因で崩れて尿が濃くなると結石ができやすくなります。

結石を引きおこす代表的な物質は「シュウ酸」「リン酸」「カルシウム」「尿酸」「リン酸マグネシウムアンモニウム」「シスチン」です。

これらの物質からできる5つの結石についてご紹介いたします。

(1)シュウ酸カルシウム結石

尿管結石になった人の全体の8割がこのタイプで、上部尿管結石で多くみられる。発症原因は不明だが、戦後急激に増えて現在も増え続けていることから、食生活の偏りが要因といわれている。その他、原発性副甲状腺機能亢進症や腎尿細管性アシドーシスなどの疾患、薬剤によっておこることがある。

結石は硬くてコンペイトウのようにギザギザしており、白または黄褐色、黒褐色。粘膜にひっかかりやすく排出されにくいため、体内で成長する特徴がある。単純X線によく映る。

(2)リン酸マグネシウムアンモニウム結石

別名、感染結石といわれ、尿素分解菌の感染によって尿のアルカリ度が高まった時にできる。

主な尿素分解菌は、プロテウス菌や緑膿菌、セラチアなどがあり、これらの菌が生産する尿素分解酵素が尿素の分解をして、アンモニアと二酸化炭素を生成する。

このアンモニアが尿をアルカリ性にするため、アルカリ性の水に溶けにくいリン酸マグネシウムアンモニウムが結晶化して結石ができる。一度結石ができると、その周囲に細菌が増殖し、増えた細菌がさらに結石を大きくする悪循環がおこる。そのため、短期で大きくなり腎盂や膀胱全体に広がることがある。

結石はサンゴ状をつくりやすいが、もろくて割れやすい。色は白または黄褐色。単純X線によく映る。

(3)リン酸カルシウム結石

シュウ酸カルシウムが混じっていることがほとんどで、リン酸カルシウム結石のみのものはほとんどない。シュウ酸カルシウム結石同様、硬くてギザギザしているが色は白っぽい。ギザギザしているため排出されにくく、体内で成長する特徴がある。尿がアルカリ性になったときにできやすい。単純X線によく映る。

(4)尿酸結石

下部尿管結石で多くみられる。尿中に含まれる尿酸が結晶化し、かたまってできる。

尿酸とは「プリン体」を代謝した後にできる老廃物。アルカリ性の水に溶けやすく、酸性には溶けにくい。尿が酸性になってきている時にできやすい。

高尿酸血症や高尿酸症などの代謝異常や痛風のある壮年の男性に多く見られる。

結石は丸みがありツルツルしていて、色は黄褐色または茶褐色でカルシウム結石の核になる。単純X線には映らない。

(5)シスチン結石

シスチン尿症という遺伝性の病気によりできる。シスチン尿症ではシスチン、リジン、オルニチン、アルギニンなどのアミノ酸が、尿細管から再吸収されず、尿中に大量に排泄されてしまう。この中で水に溶けにくいシスチンが結晶化して結石になる。

シスチン尿症の発症率は1万8千人に1人。遺伝性のため青年期に発症し、再発を繰り返す。原因になる遺伝子は発見されており、現在研究中。結石はサンゴ状結石をつくりやすく、色は黄色または飴色。単純X線には映らない。

Doctors who have medical records and doctors have a tablet

2)尿管結石の4つの症状

(1)疝痛発作

尿管結石の代表的な症状。ある日突然、背中やわき腹、下腹部などに吐き気や冷や汗を伴う激しい痛みがおきる。よく「七転八倒の苦しみ」といわれる尿管結石の代表的な症状。

この疝痛発作は多くの場合、腎臓でできた結石が狭い尿管に落ちた時におこる。

(2)血尿

結石が詰まって尿路が痙攣をおこした時や、結石が尿の流れに乗って移動する際に尿路の粘膜を傷つけて、出血したものが尿に混じって排泄されるため、血尿がみられる。

程度はさまざまで、肉眼でわかる量のもあれば、顕微鏡で見てわかる程度のもある

血尿に気がついたら痛みがなくてもまず病院を受診。痛みがなくても尿管結石であったり、膀胱がんや腎臓がんの可能性もある。

(3)頻尿・残尿感

結石が膀胱にある時はトイレが近くなる頻尿や残尿感があり、膀胱炎に似た症状を示す。

(4)排尿痛・排尿困難

尿道にある時は、非尿痛や排尿困難がおこりやすい。さらに、結石によって尿が滞留すると細菌感染をおこしやすくなり、尿が濁る、発熱することがある。

3)尿管結石の7大原因

(1)動物性脂肪中心の食生活

尿管結石ができる原因は動物性たんぱく質と動物性脂肪であり、動物性脂肪のほうがより結石の形成を促すといわれている。

脂肪は体内で分解され脂肪酸となって腸へ到達。脂肪酸にはカルシウムと結合しやすい性質があり、腸管内でカルシウムと結合して便になり排泄される。脂肪酸がいなければ腸管内でカルシウムと結合して、便になり排泄されるはずだったシュウ酸が余る。これが尿中へ排泄されカルシウムと結合し、シュウ酸カルシウム結石になる。

つまり、腸管内の脂肪酸が多いと尿中へのシュウ酸が増え、シュウ酸カルシウム結石ができやすいです。

(2)カルシウムの不足・過剰摂取

以前はカルシウム結石をなくすには、カルシウムの摂取を減らすという考えが主流だったが、最近ではカルシウムをしっかり摂ると結石ができにくいという考えが主流である。

腸管内にカルシウムがあると、シュウ酸と結合してシュウ酸カルシウムの結晶になる。これは水に溶けにくいので、体内に吸収されずに便になり排泄される。そのため、尿中に排泄されるシュウ酸が減少して尿管結石ができにくい。

つまり、腸管内にカルシウムが少ないと、尿中のシュウ酸が増えることになる。

日本人はカルシウムが不足気味といわれているので、意識的に摂取することが必要。しかし、過剰に摂取すると尿中のカルシウムが増えすぎ、結石ができやすくなるので注意。

(3)女性ホルモンの減少

尿管結石の発症年齢は、男性は40歳代をピークにして発症し、女性は更年期以降に発症しやすい。閉経後の女性に限ると発症率は男性とほぼ同じになる。その原因が女性ホルモンの減少。

女性が更年期を迎えると女性ホルモンの分泌が急激に減り、さまざまな不調が現れる。その1つが骨粗鬆症。この骨粗鬆症が尿管結石を誘発するといわれている。

女性ホルモンのエストロゲンは新陳代謝を活発にする働きがあり、その新陳代謝を繰り返すことで骨も作られている。そのため、更年期を過ぎてエストロゲンが減ると骨の壊れるスピードに骨の形成が追いつかず、カルシウムが血中に溶けだし骨がスカスカになる。

血液中のカルシウム濃度は常に一定に保たれ、過剰に溶けだしたカルシウムが尿中に排泄されてカルシウム結石を誘発する。

男性ホルモンが結石の成分となるシュウ酸を増やすのに対し、女性ホルモンには結石を防ぐクエン酸を増やす働きがある。女性が男性より尿管結石になりにくいのはこの影響といわれる。

しかし、更年期になり女性ホルモンが減少すると、クエン酸の量も減るが尿中のカルシウムが増えるため、尿管結石ができやすくなる。

(4)遺伝的素因

シスチン結石はシスチン尿症という遺伝性の病気によりできる。シスチン尿症は、先天的なアミノ酸の代謝異常によりおこる。

シスチン、リジン、オルニチン、アルギニンなどのアミノ酸が、尿細管で再吸収されずに尿中に大量に排泄される。このうち、もっとも水に溶けにくいシスチンが結晶化し、結石を形成する。

シスチン尿症では尿中のシスチン量が、正常な人の10倍以上になる。

シスチン結石の特徴は若くして発症、家族に患者がいる、大きなサンゴ状の結石、再発を繰り返すなどがある。

シスチン尿症では、尿がアルカリ性になるとシスチンが溶けやすくなるため、アルカリ化剤の服用や食生活の見直しなどにより治療をする。

結石の大半を占めるカルシウム結石では、遺伝性は確認されていない。しかし、再発を繰り返す場合は、両親や兄弟の尿管結石罹患率が通常より数倍高いといわれている。

Doctor listening to patient

(5)代謝異常

代謝異常により引きおこされる主な疾患は、高カルシウム症、高シュウ酸尿症、高尿酸尿症、低クエン酸尿症などがあり、それぞれ結石の形成に深く関与している。

低クエン酸尿症以外は、肥満度が増すにつれて発症頻度が高くなる。

(6)尿路感染症

尿路感染症は、尿路に細菌が感染して炎症をおこす。特に女性は尿道が短いため、尿路感染症にかかりやすい。

感染した部位により尿道炎、膀胱炎、腎盂腎炎に分けられる。

尿路感染症になると尿がアルカリ性になり、リン酸マグネシウムアンモニウム結石ができる。逆に尿管結石により尿の流れが滞り細菌感染がおこることもある。

(7)尿の通過障害

尿がスムーズに流れていると、結晶ができても排泄されるが、腎盂尿管移行部狭窄や尿管狭窄、前立腺肥大症により尿の通過障害があると結晶が流れにくく石ができやすくなる。

尿路感染症もおきやすくなるので、尿管結石をおこすリスクが高まる。

4)尿管結石への6つの検査方法

尿管結石は泌尿器科で診てもらえます。尿管結石外来があるところや専門医がいるところが望ましいですが、尿管結石は泌尿器科でポピュラーな病気ですので、尿管結石の疝痛発作がおきたとわかったら、近くの泌尿器科へ行きましょう。

泌尿器科がどこにあるかわからない場合は、かかりつけ医に相談するのも良いです。泌尿器科で初診時に行う検査は以下の通りです。

(1)問診

問診票に自覚症状の様子や既往歴、家族歴、服用中の薬などを記入し、診察時に問診票に沿って医師が質問します。

(2)採尿

血尿や感染症の有無を調べます。また、尿中のカルシウムやシュウ酸、尿酸、リンの量も測定します。これらの内容と尿のpHを調べて結石の原因を探ります。

(3)採血

カルシウムやシュウ酸、尿酸、リンなどを測定して結石の原因物質の量やバランスを調べます。血液中のクレアチニンや尿素窒素の量を調べて腎機能が正常に働いているか調べます。

(4)画像診断

結石の有無や位置、大きさや成分を確認します。単純X線(腎尿管膀胱撮影:KUB)と超音波検査で診断がつきます。

腎尿管膀胱撮影(KUB)とは、腎臓から尿管、膀胱までを1枚の写真になるようにX線撮影することです。腎臓から続く尿路をたどり結石の位置や大きさ、数を探っていきます。

超音波検査(エコー)ではKUBで映らない尿酸結石やシスチン結石を確認でき、水腎症や尿管閉塞の程度も確認できます。

現在は、KUBとエコーを併用するのが一般的です。

(5)結石の成分分析

尿管結石は再発率が高いため、結石が排泄されたら完治ではありません。再発の予防をしなければ、何度も痛い思いをすることになります。

そこで排泄された結石の成分を分析して、予防治療に役立てます。

(6)24時間尿化学検査

24時間尿をためて行う検査です。1日の尿の量や結石に関係のある物質の排泄量を測定します。

尿の量が少ないと尿が濃縮されて結石ができやすくなります。またカルシウムやシュウ酸、尿酸、リンなどの排泄過剰がないか調べ、再発予防に役立てます。

Stethoscope in hands

5)尿管結石を予防する7つの食事療法

尿管結石を予防するには、食事療法が一番効果的な方法です。食事療法と聞くと難しいとか手間がかかりそうと思うかも知れませんが、食事の偏りをなくすだけで良いのです。

この食事療法は尿管結石になったことがない人だけでなく、再発を防ぎたい人にも役に立ちます。ぜひ参考にしてください。

(1)1日2リットル以上の水分を

一度に大量に飲むのではなく、コップ1杯の水を小分けにして飲みましょう。

水分をしっかり摂ると尿の量が増えて結晶ができにくくなり、尿路の活動が活発になるため、不要なものは排泄されます。

(2)動物性たんぱく質・動物性脂肪は控えめに

動物性たんぱく質を多く摂ると、尿管結石の形成を抑える働きがあるクエン酸が減り、カルシウム結石ができやすくなります。

また、動物性たんぱく質にはプリン体が多く含まれ、プリン体は体内で代謝されると尿酸となり、尿酸の濃度が高まると尿酸結石ができ、それを核にしてカルシウム結石もできやすくなります。

尿管結石形成のもう1つの原因である動物性脂肪は、尿中でカルシウムとシュウ酸と結合して、シュウ酸カルシウムと結石が形成されます。

動物性たんぱく質と動物性脂肪の過剰摂取は肥満につながり、他の生活習慣病も誘発するので食べる量を減らす他、調理の仕方や食べ方を工夫しましょう。

(3)シュウ酸を含む食品を摂りすぎない

シュウ酸は強力な結石形成促進物質です。尿中のシュウ酸が多い人は、尿管結石の再発率も高いといわれています。

シュウ酸は緑茶やココア、コーヒー、紅茶、玉露などの飲み物に含まれています。

野菜ではキャベツ、ブロッコリー、レタス、サツマイモ、ナスなどに含まれています。

しかし、シュウ酸は水に溶けるので、ゆでることでシュウ酸を約半分に減らせます。

また、カルシウムと一緒に摂ると腸管内でシュウ酸とカルシウムが結合し、便として排泄されるので尿中へのシュウ酸の排泄を抑えられます。

(4)塩分と糖分は控えめに

塩分を過剰摂取すると尿中へのナトリウムの排泄量が増えるだけでなく、カルシウムの排泄量も増加して、シュウ酸カルシウム結石ができやすくなります。

最近の研究でも塩分の過剰摂取が、高カルシウム尿症とシュウ酸カルシウム結石のリスクを高めることがわかっています。

また、砂糖の過剰摂取は動物性食品同様に血液が酸性に傾くため、それを中和しようと骨のカルシウムが溶け出し、尿中へのカルシウム排泄が増えてカルシウム結石の形成につながります。

(5)カルシウムは適度に摂る

カルシウムは腸管内でシュウ酸と結びついて不溶性のシュウ酸カルシウムとなり、便として排泄されます。これにより、尿中へのシュウ酸の排泄が抑えられます。

(6)炭水化物とクエン酸を適度に摂る

炭水化物には食物繊維やマグネシウムが多く含まれており、食物繊維に含まれるフィチン酸は腸管内でカルシウムと結合してカルシウムの吸収を抑えて尿中への排泄を減らします。

マグネシウムは腸管内でシュウ酸と結合してシュウ酸の吸収を妨げ、尿中への排泄を抑える他、尿中でシュウ酸と結合して水に溶けやすいシュウ酸マグネシウムを形成し、シュウ酸カルシウム結石の形成を阻害します。

さらにクエン酸の腎尿細管での再吸収を抑えて尿中への排泄を促進します。

また、クエン酸は尿管結石の形成を抑制するもっとも重要な物質で、尿中でカルシウムとシュウ酸が結合するのを妨げ、シュウ酸カルシウムの結晶化やリン酸カルシウムの結晶化を防ぎます。尿のアルカリ化を促進して酸性尿を改善する働きもあり、尿管結石やシスチン結石も予防します。

(7)尿酸の原因であるプリン体を摂りすぎない

プリン体は代謝すると尿酸になります。血中に尿酸が増えすぎると「高尿酸血症」になります。「高尿酸血症」は体液中に溶けきれなくなった尿酸が結晶化して蓄積し、尿中へ排泄する量が増えることです。尿管結石や痛風、腎障害の原因になります。

肉や魚類が尿を酸性にするのに対し、野菜や海藻は尿をアルカリ性にするので、肉や魚を食べる時は、野菜や海藻も一緒に摂りましょう。

特に野菜類はプリン体が少ないうえ、食物繊維がプリン体の吸収を抑えます。たっぷり食べましょう。



今回のまとめ

1)尿管結石は食生活のバランスの崩れや病気によりできる

2)尿管結石の症状は疝痛発作、血尿、頻尿、残尿感、排尿痛、排尿困難

3)尿管結石に似た病気は膵炎、虫垂炎、胆石症、腹膜炎などさまざま

4)尿管結石の原因は食生活の偏り、女性ホルモン、病気、遺伝、薬剤など

5)尿管結石の検査は結石の位置や大きさ、成分を調べるものと、再発を防ぐための検査がある

6)尿管結石の治療法は疝痛発作を抑えるものと、結石を自然に排泄する方法や薬物療法、侵襲的療法がある

7)尿管結石を予防する食事法は水分をたっぷり摂り、動物性脂肪やたんぱく質を抑えて薄味にし、栄養のバランスを考えて食べること

8)尿管結石を未然に防ぐポイントは規則正しい生活と食習慣、適度な運動