具合の悪い女性

胸が痛いと「もしかして心臓かな」とか内臓の病気を疑って不安になりますよね。特に何日も痛かったりすると心配です。今回は、胸の痛みが真ん中に現れる原因や、考えられる病気の可能性、治療方法をおつたえいたします。



胸の痛みが真ん中に現れる?病気の可能性と24の原因


1)どんな種類があるの?胸の痛みの3つの種類とは

痛みは体温や呼吸、脈拍(心拍)、血圧と並びバイタルサインと呼ばれ、生命維持に欠かせない役割を担っています。ただし、痛みの中には生命維持に必要のない痛みもあり、特に原因不明の痛みに関しては、大きなストレスを感じ不眠やうつ病など他の病気を引き起こすことがあります。その痛みには3つの種類があります。

(1)神経障害性疼痛

病気などにより神経の切断や圧迫でおこる痛みのことを、神経障害性疼痛といいます。神経障害性疼痛とは、怪我が治ったのに痛みだけが残る、病気をきっかけにして痛む部分がある、何らかの原因で痛みが長く続くうえ、市販の鎮痛薬では効果が得られません。医療機関で処方される薬が効く場合もあれば、温熱療法などの理学療法が有効な場合もあります。神経障害性疼痛の痛みでは電気が走るような痛み、焼けるような痛みを感じます。

(2)侵害受容性疼痛

切り傷や火傷、打撲、骨折により炎症や刺激がおこる痛みのことを、侵害受容性疼痛といいます。組織の損傷を察知する痛みの受容体(侵害受容体)は多くが皮膚と内臓に分布しており、損傷部分と痛みが直結しています。侵害受容性疼痛には鎮痛薬が有効です。侵害受容性疼痛の痛みではうずくような痛み、ズキズキする痛み、鋭い痛みを感じます。

(3)心因性疼痛

人間関係のストレスなどの心理や社会的な要因によっておこる痛みを心因性疼痛といいます。持続性の痛みがあるのに、その痛みや強さを説明できる疾患がなく、心理的な要因を示す所見がある場合に心因性の痛みと診断されます。心理的要因で痛みが発生または悪化しても、痛みが現実ではないとはいえません。痛みを訴える人の多くは身体的な原因が特定されていなくても、実際に痛みを感じています。痛みもしくは身体障害またはその両方に身体的な原因があり、強いストレスなど心理的要因により痛みが増強され、同じ身体疾患の人より痛みがひどくなるのが心因性疼痛の特徴です。

2)どうして痛むのか・・胸の真ん中に痛みが現れる24の原因

胸の真ん中には臓器が多く、心臓や肺、消化器系の内臓疾患による胸の痛みが主な原因です。痛みの原因により痛み方が異なります。心臓が原因であれば、真ん中から左にかけて痛みますし、消化器系はみぞおち周辺が痛みますが、食道が痛む場合は胸の真ん中が痛みます。肺であれば胸の真ん中が痛みます。ただし、感じ方は個人差があります。ここでは治療法も記載しますが、ここに治療法の記載がない疾患は6)で詳しく紹介いたします。

(1)狭心症

動脈硬化で冠動脈が狭くなり、酸素と栄養が心筋に送られなくなったことが原因で発症します。症状は、締めつけられるような激痛がおこりますが5分以内には収まります。身体の動かしはじめに発作をおこすタイプと、安静時もしくは睡眠時に発作をおこすタイプがあります。

(2)心筋梗塞

動脈硬化が進行した冠動脈に血栓が詰まって血液が流れなくなり、心筋が壊死をおこして発症します。症状は締めつけられるような胸の痛みが5分以上続きます。狭心症をおこしていた人の動脈硬化が進行して発症します。

(3)急性心不全

心筋梗塞、急性心筋炎、高血圧、不整脈、弁膜症などに続いておこります。症状は、急激な胸の痛みと息苦しさ、顔面蒼白、冷や汗、身体をおこしていないと苦しい、意識消失です。

(4)心筋炎

ウイルスや細菌が心筋に感染して発症します。症状は動悸と胸の痛み、発熱、頭痛、だるさ、食欲不振、嘔吐、下痢など。風邪とよく似た症状ですが、咳がなく胸の痛みや動悸がしたら注意が必要です。多くはそのまま治ります。

(5)感染性心内膜炎

心臓病がある人が心臓の内膜になんらかの原因で血液に入り込んだ細菌が感染して炎症をおこします。症状は動悸と胸の痛み、発熱、寒気、だるさ、食欲不振、関節痛でインフルエンザのような症状ですが、咳や鼻水などはありません。細菌が入り込む原因が、歯科治療によるものであることも珍しくありません。入院したうえで菌が全滅するまで抗菌剤の投与をします。1か月程度で退院できます。

(6)心膜炎

ウイルス感染や肺炎、膠原病、心筋梗塞、がんの心転移、腎不全などが「原因で発症します。症状は動悸、発熱と胸のあたりに激しく、刺すような痛みです。胸の痛みは息を吸うと強くなり、上体を前に倒すと軽くなる特徴があります。ウイルスが原因の場合は発熱など風邪のような症状が1~2週間続いた後、胸の痛みが始まります。多くは安静と消炎鎮痛剤の投与で改善します。

(7)解離性大動脈瘤

高血圧が原因で大動脈の内膜に突然亀裂が入り、そこに血液が流れて血管が内と外に離れて、1つの血管が2つに分かれたようになります。症状は急に胸や背中、肩甲骨に引き裂かれるような激痛が走り、ショック状態に陥って意識を失うことも少なくありません。多くはICUでの治療後、手術で亀裂が入った箇所に人工血管を入れた後、薬物療法を行います。

(8)心臓神経症

精神的な作用により、アドレナリンなどのホルモン分泌がはじまり、交感神経が活発に働くと心臓の拍動が増加します。この作用が誤作動をおこし、緊張が過度になると必要もないのに交感神経の活動が高まって動悸を感じたり、心臓の不調を訴えるようになります。心臓に異常がないことが判明後、心療内科でのカウンセリングで症状の改善を図ります。

(9)肺血栓塞栓症

心臓病が原因でできた血栓が、肺に流れて肺の動脈を詰まらせる病気です。症状は胸の痛みと激しい息切れ、呼吸困難、血圧低下による失神。小さな血栓の場合は症状もなく、気がつかないままの場合もあります。抗凝固剤や血栓溶解薬を点滴したり、カテーテルを挿入して血栓を溶かしたり砕いて吸引することで改善します。

(10)胸膜炎

悪性腫瘍、感染症、膠原病、薬剤の副作用が原因で胸膜腔に水が貯留されて発症します。症状は胸の痛み、せき、発熱、息切れなど。胸の痛みだけでなく両側の肩や頸にも痛みを感じることがあります。原因になっている病気の治療と並行して胸膜炎の治療が行われます。

Doctors and nurses discussing together

(11)縦隔気腫

両肺の間にある縦隔に外傷や気胸、喘息、間質性肺炎などにより、本来存在しないはずの空気が貯留され発症します。症状は胸の痛み、胸部違和感、呼吸困難、咳です。治療は特に必要ありません。気管損傷が診断された場合は手術が検討されます。

(12)膿胸

肺炎や肺化農症などの感染症、食道穿刺、肺手術後の縫合不全により、胸腔内に膿性液が貯留し、胸膜に炎症がおこり発症します。症状は発熱、胸の痛み、咳、呼吸困難です。原因により治療法が異なりますが、感染症の場合は抗生物質での薬物療法を行います。

(13)肺結核

結核菌はあらゆる臓器に感染して障害を与えますが、代表的なものが肺結核です。他の感染症と違い、感染した人すべてが発症するわけではなく、全体の10~20%が発症します。症状は咳、痰、疲労感、咳に伴う胸の痛み、食欲不振、寝汗などで、風邪だと思って放置しておくと血痰、息切れ、体重減少、が現われてきます。肺結核は昔の病だと思っている人もいますが近年、患者数が増えてきています。

(14)気胸

胸膜表面に小さな風船状の病変が生じたり、事故や刺創で肺や胸壁に傷がついて胸膜に穴が開き胸腔内に空気が入り込んで発症します。また、肺気腫や関節リウマチなどの疾患や子宮内膜症の病変が肺胸膜まで及んで発症する場合があります。症状は突然の胸の痛みや乾いた咳、呼吸困難の他、チアノーゼ、不整脈、血圧低下がおこることもあります。

(15)肺気腫

長年の喫煙による肺の炎症が原因で発症します。症状は慢性の咳と痰、咳に伴う胸の痛み、労作時の呼吸困難です。

(16)肺炎

肺炎球菌やレジオネラなどの細菌感染により発症します。38度以上の高熱(高齢者は出ないこともある)、激しい咳、痰、呼吸困難、胸の痛み、食欲不振、倦怠感、悪寒、筋肉や関節の痛み、頭痛など。治療は原因になる細菌を特定して抗菌薬を投与します。

(17)肺ガン

肺の細胞の遺伝子に喫煙や受動喫煙、アスベスト、アルミニウム、ヒ素により傷がつくことで発症します。症状は咳、息切れ、呼吸困難、体重減少、痰、血痰、胸の痛みです。治療法は、がんの進行により治療方法が異なります。初期は手術と放射線治療が基本ですが、中期になると抗がん剤治療が加わり、さらに進行が進むと手術は行わずに抗がん剤治療が中心になります。

(18)逆流性食道炎

加齢や食の欧米化、薬剤の副作用により、胃と食道の境目にある胃酸の逆流を防ぐ食道下部括約部の働きが悪くなったことで、通常は食道に入ってはこない胃酸が入り込み、食道がただれて発症します。症状は胸やけ、胸の痛み、口の中が苦く感じる、げっぷ、お腹の張り、飲み込みにくい、嘔吐、声がかすれる、咳や痰がでるなど。

(19)急性胃炎

ウイルスによる感染症や細菌による食中毒、刺激の強い食品の摂りすぎ、暴飲暴食、高濃度のアルコール摂取、薬や食物アレルギーなどにより発します。症状は突然おきる上腹部の痛み、悪心や嘔吐胃痛や嘔吐がある間は絶食して絶対安静にし、多少水分が取れれば吐き気止めなどを服用します。水分補給ができない場合は点滴しながら絶対安静です。吐き気や腹痛が治まれば徐々に普通食に戻します。

(20)十二指腸潰瘍

過労やストレス、薬の副作用により胃酸の分泌が刺激されて胃液が十二指腸の粘膜を消化することでおこります。症状は夜間の空腹時に上腹部に持続的におこる痛み、吐血です。胃酸分泌が高い若い人に多くみられます。

(21)胃潰瘍

ピロリ菌、過労やストレス、薬の副作用により胃酸の分泌が刺激されて胃液が胃の粘膜を消化することでおこります。症状は食後の胃痛、胸やけやむかつき、げっぷ、吐血です。無症状のこともあります。中高年に多くみられます。

(22)食道破裂

嘔吐反射がおこったのをこらえられずに、食道内に嘔吐物が充満したことで内圧の上昇に耐えられず、食道壁が破裂します。症状は嘔吐直後の胸や上腹部の激痛、胸の苦しさ、呼吸困難、冷や汗、ショック状態。治療は緊急手術を行い、胸腔内や縦隔を洗浄し、破裂した食道を縫合のうえ、ドレーンチューブを留置します。

(23)胸骨骨折

スポーツ中にボールが胸に当たったり、事故で胸を打って骨折します。骨折時に心臓が心挫傷(心臓損傷)や心臓破裂をおこすことがあります。症状は、骨折部位の疼痛、や圧痛、腫脹、皮下出血、胸骨を軽く押すと骨折部に段差が生じます。治療は非ステロイド系抗炎症薬の投与と冷湿布、圧迫固定を行います。胸骨の変位が認められる場合は外科的手術を行います。

(24)助軟骨炎

ウイルス感染症、外傷などが原因の時と原因が不明でおこることもあります。症状は上半身の動きや深呼吸で強まる鋭い胸の痛み、胸の圧迫感、腹部や背中または左半身への放散痛です。治療は非ステロイド系抗炎症薬の投与を行い、効果がない場合はブロック注射を行います。

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3)自分でできる処置はあるの?抑えておきたい対処方法とは

胸の痛みがある場合は基本的には病院へすぐに行くべきです。ここでは応急処置的なことをご紹介しますので、参考にしてください。

(1)突然の激しい胸の痛み

強烈な胸の痛み、めまいや冷や汗、息苦しさを伴う場合は、ためらわずに救急車を呼びましょう。なお、狭心症の発作は安静にして数分も経てば治まりますが、心筋梗塞の発作は治まりません。いずれにせよ、心臓発作の場合はすぐに病院へ行くか、救急車を手配しましょう。

(2)胸の痛みと息切れ

呼吸器系の疾患の可能性が高いです。椅子に座り背もたれに背中をつけてゆっくり息を吸います。落ち着いたら病院へ行きましょう。

(3)胸の痛みと嘔吐

消化器系の疾患の可能性が高いです。嘔吐後に急変することがありますので、様子が少しでもおかしいと思ったら救急車を手配しましょう。吐瀉物がコーヒー様残渣の場合は、胃潰瘍や胃がんの可能性があります。食べた物が逆流するような嘔吐の場合は、逆流性食道炎の可能性があります。いずれも病院を受診して検査を受けて下さい。

(4)胸骨や肋骨の骨折時

肋骨や胸骨を骨折すると呼吸をするたびに胸の痛みが強まります。骨折箇所に厚手のタオルを当て、タオルを軽く圧迫することで疼痛を軽くすることができます。そのまま救急車を呼ぶか、病院を受診してください。

(5)骨折以外の胸の痛みには左を下にして寝る

臓器が集まる左を下にして寝ると、胃液の流れを正常にし、膵臓酵素の分泌を促すので消化が良くなります。また、大動脈は腹部に達するまでに心臓から左にアーチを描くようにして出て行くため、心臓に血液を送りやすくなります。特に逆流性食道炎を発症している人は、胃と食道の間にある食道下部括約部が右から左に向かっているため、右を上にすると胃酸が逆流しやすくなりますので、注意しましょう。

4)症状が続く場合は専門家へ!代表的な4つの疾患への検査方法

ここでは疾患別に検査方法をご紹介いたします。

(1)心臓疾患の検査

心臓疾患は内科や循環器内科などで診てもらえます。心臓病の検査は多岐にわたります。どの検査を組み合わせるかは病院や医師の方針により異なります。

<血圧測定>

血圧は心臓が送り出した血液が血管にかける圧力であり、動脈の弾力性を反映します。この値で動脈硬化の進行具合を知ることができます。また、血管の緊張により血圧が変動するため自律神経やホルモンの状態もわかります。ストレスが強くかかっている人は自律神経も不安定なため、血圧の変動が激しくなります。血圧は通常2~3回測り、数値の低いものを結果として残します。

<血液検査>

血液検査では現在の心臓の状況や他の病気のリスク、食生活の状況を知るために、下記の項目を調べます。

<胸部X線>

心臓の大きさや形、大血管や肺の状態を調べます。正面と側面の2方向から撮影します。

<CT>

この検査では、5mmから1cm間隔の輪切りにした体内の様子を画像化できます。また、3次元の立体画像や、造影剤を注入すればより鮮明な画像を映し出すことができます。心臓の大きさや形、左右の心房、心拡大、冠動脈の異常や狭窄を見ることができ、病気の発見や診断、病状の把握、治療方針の決定、治療の効果を確認することができます。

<MRI/MRA>

この検査では縦横斜めなど各方向から断面画像を自由に映し出すことができます。また骨に邪魔されることもありません。拡張強調画像という方法を用いればCTでは不可能な微小病変も映ります。X線やCTと違い放射線被爆の心配がないため繰り返し検査が受けられます。MRA検査では造影剤を注入し、血管を鮮明に映し出すことができるため血管の詰まりや動脈瘤を見つけることが容易になります。

<超音波検査>

体内に向かって超音波を発し、それが心臓に反響して返ってくる反射波(エコー)を捉えて調べます。心臓の形の異常や動いている状態を観察して診断に役立てます。この超音波では様々な検査方法があります。

<心臓カテーテル検査>

鼠蹊部や肘、手首の動脈または静脈からカテーテルと呼ばれる細い管を、心臓まで挿入して検査を行います。

<心臓核医学検査(心シンチ/心ループシンチ)>

静脈に放射性同位元素(ラジオアイソトープ=RI)を注射し、放出される放射線量をコンピューターで処理して画像にします。心シンチでは冠動脈や心筋の細い血管の流れを調べます。心ループシンチでは心臓のポンプ機能を調べます。この検査では放射性薬品を注射しますが、安全性が確認されているので、安心して受けられます。

<SPECT/PET>

静脈に放射性同位元素(ラジオアイソトープ=RI)を注射し、放出される放射線量をコンピューターで処理した検査(RI)に、コンピューター画像処理装置を組み合わせて、色や形で表現した検査です。ガンマ線を用いるのがSPECT、ポジトロン(陽電子)を用いるのがPET検査です。脳や心臓の鮮明な画像を映し出すことができるため、血管の状態や血液の流れ、心筋の状態や動きをみることができます。この検査でも放射性薬品を注射しますが、安全性が確認されているので、安心して受けられます。

<心電図>

心臓病でもっとも重要視される検査です。心臓の拍動は電気刺激によっておこされて調整されます。この微量の電気の流れを電流計(活動電流)に導いて変化を記録します。心臓の収縮と拡張が正常に行われているか、心臓の筋肉に酸素と栄養を供給する冠動脈に動脈硬化がないか、心筋の異常の有無、甲状腺機能障害などからの心臓への影響の有無を調べることができます。検査結果は心臓病の発見や診断、病状の把握、治療効果の確認、薬の副作用の発見などに使用します。

<24時間心電図検査/ホルター心電図>

不整脈や狭心症の発作があっても症状がでない無症候性心筋虚血などを調べるために行います。小型の心電計をつけて通常通り生活をし、心電図の変化をみます。

<動脈硬化検査(ABI/PWV)>

動脈硬化の進行を測定する検査です。手首と足首に血圧計を装着するだけで測定できます。PWVは腕から足首までの脈波の伝わる速度で動脈硬化の進み具合がわかります。ABIは腕の血圧と足首の血圧の比で、下肢の動脈硬化と下肢閉塞性動脈硬化がわかります。

<運動負荷心電図>

運動を行った後や運動中の心臓の動きを調べます。運動により心臓に負荷をかけた状態で心電図に現れる変化をみます。虚血性心疾患の診断や、心臓病患者の運動能力を測定したり、治療効果を判定する際に行います。

MRI machine is ready to research in a hospital

(2)呼吸器疾患の検査

肺などの呼吸器の病気は内科や呼吸器内科などで診てもらえます。呼吸器疾患の基本的な検査をご紹介しますが、どの検査を組み合わせるかは病院や医師の方針により異なります。

<胸部X線検査>

X線では正常な肺は、ほとんど空気を含むため黒く映ります。しかし、肺がんや肺炎をおこしていると本来あるはずの空気が、がん細胞や膿に置き換えられているため、X線では白く映ります。このように肺のX線画像は色の濃淡で、病変があるかすぐにわかるためX線写真を診断でよく使用します。

<CT検査>

X線検査で異常が見つかった場合、さらに詳細をみるためにこの検査を行います。また、肺の組織を取る際に病変部分をCT画像で確認しながら、採取することもあります。さらに、気管や気管支を3D化して確認する際にもCT検査を行います。

<迅速検査>

鼻腔や咽頭を拭った液からインフルエンザウイルスなど病原微生物が検出されるか、推定する検査です。すぐに結果が出るため、このような名称で呼ばれています。

<血液検査>

白血球・血沈検査・CRP・腫瘍マーカー・凝固線溶系検査などを行います。

<喀痰検査>

痰を採取して原因になっている微生物を推定または特定します。推定の場合は数時間、特定の場合は数日で結果がわかります。

<尿検査>

細菌感染している場合は、尿からでも肺炎球菌やレジオネラ菌がでます。

<肺機能検査>

肺の容積、空気を出し入れする機能を調べます。スパイロメーターという機械を使用します。鼻をクリップで止め、マウスピースを口にくわえて一度大きく息を吐き、大きく吸います。そしてさらに大きく息を吐きます。これを2~3回繰り返します。このように、指示通り息を吐いたり吸ったりすることで肺の機能を調べることができます。肺結核、肺気腫など慢性の呼吸器疾患の診断や治療方針の決定に役立てます。

<気管支内視鏡検査>

ファイバースコープという細い管を口から挿入して、気管や肺の内部を診断します。さらに、病変部の組織を採取したり、分泌液を調べる細胞診断を行います。病変部や出血箇所の特定をして、肺がんや肺炎などの診断に役立てます。

<酸素飽和度>

肺気腫のように息切れをおこす疾患などで行う検査です。指先にクリップ状の検査機器をつけるだけで、肺の機能が低下していないか確認できます。検査が簡単に行えるうえ、その場で検査結果が出るため通常の診察でも使用します。

<肺シンチ>

放射性同位元素(RI)を吸入または静脈注射して放出される放射線量をコンピューターで処理した画像にし、肺動脈の血流障害を調べます。

(3)消化器疾患の検査

食道や胃、十二指腸の病気は内科や消化器内科などで診てもらえます。消化器疾患で行われる基本的な検査をご紹介しますが、どの検査を組み合わせるかは病院や医師の方針により異なります。

<内視鏡検査>

内視鏡検査は検査中に鮮明な画像を見ることができるため、検査後すぐ治療を行うことができます。また、色素を使って病変をより鮮明にし、超音波を併用して粘膜の下にある腫瘍の診断をすることができます。さらに、組織を採取して病理診断を行う、出血しているところを止血する、早期のがんを切除、狭窄部にステントを入れて拡張することなど多様な使い方ができます。内視鏡には口から入れる経口内視鏡と鼻から入れる経鼻内視鏡があります。どちらが苦しくないかは、個人差があるため一概には言えません。

<腹部単純X線検査>

腹痛がある時に病気を鑑別するために行います。

<造影X線検査・バリウム検査>

胃の内部は単純X線では映らないためバリウムを使用して、発砲錠で発生させた空気の黒とバリウムの白でコントラストをつけて、胃の粘膜を映し出します。

<CT検査>

膵臓、胆のう、胆管、肝臓の病気を診断します。胃の粘膜下腫瘍やがんのリンパ転移、肝臓転移を確認する際にも使用します。

<MRI検査>

CT検査での輪切りにした断面画像で映らない箇所にある腫瘍や、病変を確認するために行います。

<超音波検査(エコー)>

おなか全体の臓器を調べることができます。特に胆石、肝臓がん、膵臓がん、尿管結石、腎臓結石、リンパ線腫大の診断に使用します。

<血液検査>

赤血球・総タンパク・アルブミン値・CRPなどの検査が行われます。

<尿検査>

尿検査では、尿タンパク、糖、ウロビリノーゲン、潜血反応を調べます。この検査により腎機能や糖尿病、膵炎、肝臓、胆道の状態がわかります。

<便検査>

血液検査で貧血があった場合に調べます。この検査により上部消化管か、下部消化管からの出血かがわかります。この検査で陽性になると大腸からの出血であると判断されます。

(4)骨折の検査

胸部骨折は整形外科や外科で診てもらえます。

<胸部X線検査>

X線検査で骨折箇所を確認します。神経の損傷などを確認する場合はMRIも行う場合があります。

Male medicine doctor hand holding stethoscope head

5)日常生活から改善を!予防のチェック項目とは?

ここまで多くの疾患についてみてきました。ここでは24の疾患を防ぐ方法をチェック項目で記しますので、参考にしてください。

(1)毎日規則正しい生活を送る

(2)脂質を減らし、栄養バランスの良い食事を3食摂る

(3)刺激物や塩分を控え、消化の良いものを食べる

(4)腹八分目、よく噛んで早食いをやめる

(5)健康診断やガン検診は積極的に利用して医師の指導を守る

(6)65歳以上の人は肺炎球菌ワクチンを接種する

(7)肥満予防、体力作り、ストレス発散を兼ねて運動する習慣を身につける

(8)7時間前後は睡眠をとり、疲れを翌日に持ち越さないようにする

(9)夜は湯船に浸かりリラックスして熟睡する

(10)禁煙と禁酒

(11)趣味を楽しんでストレスをためない

(12)服装はゆったりとしたものを選び、下着も締めつけの少ないものを選ぶ

(13)姿勢に気をつけ猫背にならないようにする



今回のまとめ

1)痛みには神経障害性疼痛、侵害受容性疼痛、心因性疼痛がある

2)胸が痛む主な原因は、左胸は心臓、右胸は胆のう、左右は神経痛や乳房の疾患

3)胸の真ん中が痛む主な原因は心臓、肺、消化器系の疾患

4)胸の真ん中が痛む時の自宅でできる対処法は、おかしいと思ったら救急車の手配か、病院へ行く

5)胸の真ん中が痛い時の検査方法はどの疾患でも画像検査と血液検査が基本

6)胸の真ん中が痛む時の治療はどの疾患でも薬物療法が中心だが、重症化すると手術を検討する