デスクでパソコンを確認している医者

「耳に水が溜まる」と聞くと、水泳や入浴中に耳に水が入ったようなイメージを受けるかもしれません。しかしそうではなく、耳の「中耳」という部分に液体が溜まる病気の事を言います。なぜ中耳に液体が溜まるのか、原因や治療法をご紹介します。



耳に水が溜まるとは?注意したい2種類の病気と原因とは


1)耳に水が溜まるとは?健康的な耳との違いとは? 

(1)耳の構造とは?

耳は、外耳・中耳・内耳という3つの部位に分かれています。 外耳部分には、耳(耳介)と外耳道という道があり、中耳部分には鼓膜や鼓室・耳小骨等があります。そして内耳部分には三半規管や神経・蝸牛・耳管(鼓室と咽頭を繋ぐ管)があります。ようするに耳と鼻は奥で繋がっている事になります。 

耳介が音波を集め、外耳道が音波を中耳に送ります。音波は鼓膜を振動させて中耳に届き、耳小骨を伝って内耳に届きます。内耳の蝸牛や神経の働きを経て、最初の音波は電気信号に変わります。それが大脳に伝えられ、電気信号を認知した時に「音」としてを認識します。

(2)耳に水が溜まるとは?

この中耳部分に液体が溜まる状態を、「耳に水が溜まる」と表現します。 耳に溜まっている水は 白血球や組織の崩壊物質からできる「膿」や、かさぶたの元になる「浸出液」です。 菌やウィルスを含んだ鼻水が、咽頭から耳管を伝って中耳に侵入し、そこに膿や浸出液が溜まった状態です。 

2)なぜ耳に水が溜まるのか?耳に水が溜まる4大原因 

(1)風邪 

インフルエンザ等の風邪に罹患すると鼻水が出るようになります。その鼻水が咽頭を通って耳管から侵入して中耳に届くと炎症が起こります。 

(2)蓄膿症・アレルギー性鼻炎 

鼻の疾患である蓄膿症やアレルギー性鼻炎は、常に鼻水の量が多いので、細菌やウィルスが繁殖しやすくなります。それが中耳まで流れてしまい炎症を起こします。 

(3)鼻のかみ方 

ウィルスや菌を含んだ鼻水を、片方ずつかまずに両方いっきにかむと、鼻腔内の圧力が上昇して耳管に鼻水を送り込んでしまいます。また、鼻をすする癖がある人も、鼻水を中耳に送り込みやすくなります。 

(4)耳管の構造 

子供は体の構造が大人よりも未熟です。咽頭から中耳までの耳管の傾斜角度が大人よりも低いうえに太くて短いので、鼻水が中耳に流れ込みやすくなります。その結果、大人よりも子供の方が中耳炎を発症する確率が高くなります。 

3)症状チェックを!耳に水が溜まっているかを確認する5つの判断基準 

(1)耳の内部の痛み 

(2)耳だれが出る 

(3)聞こえにくい 

(4)発熱する 

(5)耳が詰まったような感覚がある 

主にこれらの症状が発生します。痛みや発熱はある場合もあれば無い場合もあります。 

Doctors who have medical records and doctors have a tablet

4)耳に水が溜まる症状から考えられる2種類の病気とは?

(1)急性中耳炎 

風邪等がきっかけで、鼻水が中耳に入り込み、膿が溜まって炎症を起こします。鼓膜が圧迫されるので痛みが現れます。急に発症し、痛みや発熱は2~3日でおさまる傾向があります。しかし痛みや発熱がおさまっても中耳の炎症が治っているわけではなく、膿は溜まったままの状態です。その膿が、来た方向とは逆に進み、中耳から耳管を通って咽頭に行き、鼻から抜けると治ります。軽度の場合は放置していても治る場合がありますが、膿が増殖すると鼓膜を破って耳だれが出るようになります。 

耳鼻咽喉科を受診すると、菌の殺菌や抑制の為に抗生物質や、解熱鎮痛剤・点耳薬等が処方されます。耳だれがある場合は耳の掃除が行われ、鼓膜が膿で膨れている場合は、切開して膿を取り除く「鼓膜切開」が行われます。急性中耳炎が完治するには2~3周間、遅ければ1~3ヶ月かかる場合があります。 

(2)滲出性中耳炎 

中耳にサラサラした浸出液が溜まります。急性中耳炎の回復途上には、中耳に溜まッた浸出液が、耳管から鼻や喉に流れてくる症状が現れます。しかし、それが上手く流れずに中耳に溜まったままの状態になると、滲出性中耳炎に移行します。また、日頃から蓄膿症やアレルギー性鼻炎等の慢性疾患が鼻にある場合、耳管の働きが弱くなるので滲出性中耳炎を発症しやすくなります。 中耳に炎症が起こらないので痛みや発熱は発生しにくいですが、音が聞こえにくくなる「難聴」を発症します。

耳鼻咽喉科では、うっ血を改善する抗ヒスタミン剤で耳管を開かせ、耳管の働きを良くする治療が行われます。また、鼓膜を切開して浸出液を取り除く「鼓膜切開」や、鼓膜に穴を開けて管を通し浸出液が溜まらないようにする「鼓膜チューブ留置術」等の施術が行われる場合があります。大人は耳に違和感を感じた場合意思表示が出来ますが、小さな子供はうまく表現できません。なので、周囲の人が気にかけてあげるようにしてください。 

・テレビの音量を上げる 

・大きな声で話すようになる 

・呼んでも振り返らない 

・耳によく手をあてる 

等の症状が子供にみられた場合は、滲出性中耳炎を疑いましょう。 

5)日常生活から改善を!耳に水が溜まる症状への予防習慣とは 

(1)鼻水を止める 

風邪や鼻の疾患で鼻水が出るようになると、それが原因で中耳に炎症を起こしてしまいます。また、鼻水が多いとついすする癖がついてしまい、それも中耳に炎症を起こす原因になります。適切な治療を受けて、鼻や咽頭・耳管等に負担がかからないようにしましょう。 

(2)鼻のかみ方に注意する 

鼻を強くかむ・両方いっきにかむ等は避けましょう。片方ずつ優しくかんでください。 

(3)急性中耳炎を完治させる 

痛みがなくなっても耳に水が溜まっていると滲出性中耳炎になってしまう可能性があります。きちんと治療を受けて、急性中耳炎を完治させておく事が大切です。



今回のまとめ 

1)耳に水が溜まるとは?健康的な耳との違いとは? 

2)なぜ耳に水が溜まるのか?耳に水が溜まる4大原因 

3)症状チェックを!耳に水が溜まっているかを確認する5つの判断基準 

4)種類の解説!耳に水が溜まる症状から考えられる2種類の病気とは 

5)日常生活から改善を!耳に水が溜まる症状への予防習慣とは