資料を確認する女性の患者

私たちは健康であれば呼吸などに特別意識することはありませんが、息を吸うと胸が痛い症状が起こり、少しでも気になる場合は医師の診断を受ける必要があります。今回は息を吸うと胸が痛い症状や考えられる病気の可能性、治療方法をお伝えします。



息を吸うと肺が痛い4つの原因と症状とは


1)種類の違いとは?肺の痛みの7つの種類

(1)左肺に痛みを感じる時

左肺に痛みを感じる場合は「肺気胸」の可能性があります。「肺気胸」とは、肺を包んでいる胸膜に穴が開いてしまって、急に胸や肺に痛みを感じ、同時に息切れや呼吸困難を引き起こします。一般に若年層の痩せがたの男性に発症する例が多い様です。

(2)右肺に痛みを感じる時

右の肺に痛みを感じる場合に疑われる病気として、「肋間神経痛」が考えられます。原因としては、転んだり、胸を強打したりして骨折したり、骨にヒビが入ったりすると発症します。

(3)呼吸をすると痛い時

呼吸をする時に痛みを感じる時は、アレルギーによる喘息(ぜんそく)や、ストレスによる鬱症、心不全を引き起こしている可能性があります。代表的な疾患に「気管支喘息(ぜんそく)」があります。

(4)咳をすると肺に痛みを感じる

咳をした時に肺に痛みを感じる時は、色々な病気が疑われますが、最近気を付けなければならない肺の病気で「COPD」と呼ばれるものがあります。この病気は世界的に急増していて、「肺気腫」と「慢性気管支炎」を合わせた呼び名です。男性に多く、40歳代から徐々に発症して65歳頃から急増する様です。もう一つ大きな病気のひとつとして「肺がん」があります。肺がんは日本人での病症別死亡率では1位の大変怖い病気です。初期の段階では自覚症状は殆どないので発見されにくいのですが、症状が現れる頃にはかなり進行しています。

(5)肺に水が溜まると痛みが出る

肺に水が溜まる病気に「肺水腫」があります。この肺水腫は、血管から滲み出たしょう液が肺胞内に溜まる病気と、「肺うっ血」という、肺の血管内の血液の量が増加して、血液の流れに不具合を生じ、症状が進行すると血液中の水分が血管の外に漏れ出てしまい、その漏れ出た水が肺胞の中に溜まってしまい「肺水腫」を引き起こしてしまいますので注意が必要です。

(6)肺に穴が開いてしまった時

肺に何らかの原因で胸膜に穴があいてしまう病気で、「自然気胸」を発症して息切れなどを伴う胸痛などの症状が現れます。

(7)呼吸障害による痛み

胸が痛いと同時に呼吸障害を伴い、咳や血痰などの症状がみられる場合は、「肺塞栓症」を引き起こしている可能性があるので注意が必要です。肺塞栓症とは、血栓が肺動脈で詰まってしまい呼吸困難を引き起こす病気です。少しでも肺に痛みを生じたりした場合は、病院で検査を受けることをおすすめします、考えられる病気としては、肺がんはもとより、肺結核、肺炎、肺の良性腫瘍があります。

2)部位による違いをチェック!肺の部位別の痛みの特徴とは

肺に痛みを感じる場合には、部位によって特徴が現れる場合があります。その特徴とはどの様なものでしょう。

(1)左側の肺の痛みの特徴とは

左側の胸が痛い場合は、狭心症、心筋梗塞、心臓神経症の可能性が考えられます。左胸だけでなく、左腕、頸部、下あご、奥歯などにも痛みを感じることがあります。狭心症の発作の痛みは安静にしていると10数分で治まるのが特徴ですが、痛みが3分以上継続する様でしたら要注意です。その場合は心筋梗塞の疑いがありますから、すぐに病院の診察が必要です。

また、仕事での過労やストレス等を多く抱えている時に、左胸に痛みのある症状が出た場合は、心臓神経症の可能性考えられます。痛みを感じる時に腱さをしても異常が見つからない場合は「心臓神経症」と呼ばれます。

(2)右側の肺の痛みの特徴は

咳をしたり、深呼吸などをした時に右胸が痛む時は、「肋間神経痛」を発症している場合があります。肋間神経痛で痛む箇所は、肋骨に沿った範囲で、主に胸の片側が痛むことが多い様です。肋間神経痛は、胸を何かにぶつけたり、転んだりして痛める原因がはっきりしている場合と、他の原因から感染して肋間神経痛になる場合と、神経痛や帯状疱疹などでもなる場合もあります。また、肋間神経痛は、腫瘍、大動脈瘤、胸膜炎、結核、梅毒などの初期の症状が痛みとして出ることもありますので注意が必要です。

(3)胸の真ん中の痛みの特徴

胸が締め付けられる様に痛みがあり、30分以上続く場合は、「心筋梗塞」を発症している可能性があります。心筋梗塞の症状は、強い胸痛を伴い、冷や汗や嘔吐、呼吸困難などを伴い、症状が進行すると血圧が低下してショック状態に陥ることがあります。心筋梗塞は発症したと認められたらすぐに緊急治療を行う必要があります。治療が遅れると心拍が停止して死に至る恐い病気です。

rztin bert einen lteren Patienten

3)なぜ痛むの?考えられる4つの原因とは

咳をしたり深く息を吸ったりした時に胸が痛いという場合は、どの様な原因が考えられるのでしょうか。

(1)気胸の症状による痛み

気胸による胸の痛みは、激しく痛いというよりも「何となく胸が痛い感じがする」もので、時に肩の方に痛みが広がることがあります。気胸とは、肺の表面に風船の様なブラと呼ばれるものが有り、それが破れることで肺の空気が外にもれてしまい、この時もれた空気が肺を圧迫して押しつぶしてしまい発症すると云われています。

(2)肋間神経痛の症状による痛み

胸を何かにぶつけたり、運動不足などで神経が筋肉や骨に圧迫されたりした場合と、帯状疱疹ウィルスが原因で痛みが生じます。

(3)肋骨骨折による痛み

このケースは高齢者に多く見られます。原因としては、怪我によるものが多いのですが、不自然な力が肋骨に掛った時に起こります。肋骨に弾力のある比較的若い人には少ない症例です。呼吸をするだけでも痛みを感じます、

(4)胸椎間関節症による痛み

胸にある上下の背骨を繋いでいる関節を椎間関節と云いますが、猫背などで姿勢が悪くなっている場合と、普段運動などをしていない人がいきなり運動をしたりした時や、咳やくしゃみなども原因と考えられています。深呼吸をしたり、身体をねじる動きや寝返りなど、 また、咳やくしゃみなどでもズキンと痛みが走る時があります。

4)症状を確認しよう!肺が痛い場合に考えられる3つの症状

息を吸うと肺など胸が痛い場合には以下の様な症状が生じる時があります。医師の診断を受ける時など痛みの症状を良く把握しておくことは、正しい病状の把握にも繋がります。

(1)咳が酷く出る

息を吸うと胸の痛みと併せて咳が止まらなくなる症状が起きる人がいます。咳が酷くてもX線やCTスキャンなどで検査しても異常などが見つからないケースもあります。その場合は、骨や筋肉、神経などが痛みを発症している可能性があります。

(2)くしゃみが出る

息を吸ったりした時に咳だけではなく、くしゃみをした時にも胸に痛みを強く感じるという人もいます。くしゃみで胸に痛みを感じる原因のひとつには「肋間神経痛」が関係していることがあります。咳の時と同様に肋骨骨折が隠れている場合があります。

(3)息苦しさを感じる

息を吸った時に痛みと同時に息苦しさを感じる場合は、肺とか心臓に何らかの病気が潜んでいる可能性があります。として、狭心症、心筋梗塞、気胸、肺血栓などの肺の病気が考えられます。

※胸の痛みの症状には以上の他に様々な症状が出る場合がありますが、ここでは息を吸ったり吐いたりした時に生じる症状を特化して挙げています。胸の痛みの症状を良く把握して診察の折には細かく医師に伝えることが必要です。

診察を行うドクター

5)症状が続く場合には・・考えられる2種類の病気とは

呼吸などをした時に肺が痛いと感じた場合に考えられる病気は大きく別けて2つ考えられます。

(1)胸膜炎

胸膜炎とは、胸膜に水が溜まる病気で、結核や最近感染による感染症と悪性腫瘍が考えられます。胸膜炎は、息を吸うと胸が痛み、深呼吸や咳などでも胸の痛みが激しさを増すのが特徴です。胸膜に水が増えてくると呼吸困難も生じる様になります。

(2)肋間神経痛

やはり息を吸うと胸が痛くなる症状の原因に「肋間神経痛」があります。何かに胸を強打して肋骨にヒビが入ったり、骨折などが原因で痛みが生じるのです。感染や圧迫、神経痛、帯状疱疹などでも発症したりします。また、重度の病気の初期症状の場合もありますので検査を早めに受けましょう。

6)応急処置を試そう!息を吸うと肺が痛い場合への4つの対処法

息を吸うなどした時に肺に痛みを感じた場合は、大抵の場合何らかの原因が考えられますから自宅ではあくまでも応急処置のみと考え、出来るだけ早めに診断を受けることが必要です。

(1)温める方法

不安やストレスなどで息を吸うと胸に痛みを感じることがあります。そんな時はゆっくりリラックスして落ち着いて呼吸し、口からゆっくり息を吐いて下さい。風呂などにゆっくり浸かり身体を温めるのも良いでしょう。血行を良くし、痛みを和らげます。

(2)冷やす方法

何らかの原因で、肋骨にヒビが入ったり、骨折が考えられる時に急に痛みが走ったりした時は炎症をおこしている可能性があるので温めるのは逆効果です。その様な時は患部を冷やすのが良いでしょう。そしてなるべく早く接骨医か病院で診察を受けましょう。

(3)ストレッチ

呼吸をする時に胸に痛みを感じる場合は、ストレスなどで鬱症状やアレルギーによる軽い喘息の可能性があります。んな時はストレッチをすると改善することがあります。特に肩甲骨の周りを意識的に揉みほぐす様にすると痛みが緩和して楽になります。

(4)複式呼吸をする

呼吸時に胸に強い痛みを覚えたら、落ち着いて椅子などに腰を下ろし、お腹に手を置いて深く息を吸い込み複式呼吸をしましょう。次に脈拍を測り不規則になっていないかをチェックしましょう。少しでも異常が認められたら病院の診察が必要です。

Stethoscope in hands

7)息を吸うと肺が痛い場合にすべき検査方法とは?

息を吸うと肺が痛い時は多少に関わらず病院で検査を受けるのが良いでしょう。一般にはX線による撮影検査をするのが前提の検査となります。ほかに肺活量を測定する肺機能検査や喀痰(かくたん)検査を実施することがあります。

(1)心電図検査

不整脈などによっても胸に痛みを感じる場合があります。その場合は心電図検査を行います。料金は3割負担で、検査費含めて2,500~3,000円前後です。

(2)胸部X線検査

肺炎や肺がん、肺気種などの呼吸器系の疾患の有無と病変の程度状況を調べます。咳が出る、痰が出る、胸が痛い、息苦しいなどの症状があるときに必ず行なわれる検査で、一般診療や健康診断などでも実施される単純撮影のことを指します。X線は人体を通り抜けますが、骨のように通り抜け難いところがあるため、通り抜けたX線を画面に写すと濃淡ができ、体内の様子を知ることができます。検査に要する時間は簡単な撮影ですので2~3分で終わります。料金は医療機関によって違いが有る様ですが、保健3割負担で約800円前後です。

(3)胸部CT検査

胸部X線の検査結果によって、胸部の病気が疑われた時に行います。主に肺や気管、気管支などの病変などを見つけるために行なわれます。検査時間自体は約15~30分です。料金は健康診断を平行して行う場合は15,000円程度掛かりますが、CT検査のみでは、約7,000円~10,000円程度です。上記2つの検査を経て疑わしい病気があれば、気管支内視鏡、肺機能検査、喀痰検査などの精密検査が行われます。

8)症状が続く場合には・・専門医で行われる可能性のある治療方法

息を吸うと胸が痛い時、深呼吸や咳などしても胸が痛い場合は胸膜炎か肋間神経痛などの病気が疑われます。診察は循環器内科の受診をおすすめします。

(1)胸膜炎の治療

胸膜炎は肺に水が溜まる病気で、息を吸ったりした時や、深呼吸や咳などでも痛みが増すのが特徴です。進行すると呼吸困難の状態に陥ることがあります。原因としては、感染症と悪性腫瘍が考えられますが、治療の方法としては、細菌感染の場合は、抗菌薬の点滴が行われます。 悪性腫瘍が原因と認められた場合は、胸腔ドレナージという方法で、器械で胸水を取り出し、その後に抗がん薬などで治療を行います。

(2)肋間神経痛の治療

肋間神経痛も息を吸ったり、深呼吸や咳などをしても痛みを感じます。症状として息を吸うと肋骨に沿って片側の胸が急に痛くなる突発的な病気です。原因としては、何らかの原因で肋骨にヒビが入ったり、骨折などしていたりしている場合があります。また、寒さによる神経痛や帯状疱疹でも起こる場合があり、重度の病気の初期症状としても現れる場合もあります。治療法としては、炎症を鎮める効果のある消炎鎮痛薬や湿布薬を使用したり、胸部を固定するベルトなどで固定したりして症状の緩和を図ります。痛みが酷い場合は、局所麻酔薬とステロイドを混合した神経ブロック注射が行われる場合があります。

9)生活習慣から改善を!息を吸うと肺が痛い症状への4つの予防ポイント

息を吸うと胸に痛みを感じることを予防するために日常的に取り入れたい原則的なものをご紹介してみましょう。

(1)食習慣

・塩分を控える

普段の食生活において塩分を過剰に摂取すると、のどの渇きに繋がって水分を余計に摂取してしまい、その為に体内の血液量が増えて高血圧症の基となります。高血圧になると血管に掛る負担が強くなり徐々に動脈硬化を招き、胸の痛みに繋がります。適正な1日当たりの塩分摂取量は、男性で8g未満、女性で7.5g未満とされています。

・糖分を控える

胸の痛みの予防には、塩分と同様糖分を控えることも大切です。糖分を過剰に摂取すると肥満に繋がり、糖尿病や高血圧、高脂血症などの生活習慣病を招きます。よって心筋梗塞や狭心症を招き胸の痛みに繋がります。糖分の1日の摂取目安量は5gと云われています。

(2)生活習慣

・ストレスを溜めない

ストレスは心臓にとっても良くありません。ストレスが溜まると心臓に栄養を送る冠動脈が動脈硬化を起こすリスクが高く、狭心症や心筋梗塞の原因となり、胸の痛みに繋がります。

・アルコールやタバコを控える

アルコールの過剰摂取は、食堂に胃酸が逆流して「逆流性食道炎」を起こすことがあります。これは胸やけを通りこし、痛みを発症する基となります。また、タバコは、煙に含まれるタールは肺に炎症を起こし、慢性的に咳や呼吸障害の基となり、心臓への負担を強めて動脈硬化の原因となり、狭心症や心筋梗塞の発症の原因となり、胸の痛みに繋がります。

(3)運動習慣

運動不足が原因で心臓に栄養を送る冠動脈が動脈硬化をおこしてしまうリスクがあります。適度な運動は、全身に適度に血液を循環させるメリットがあります。

(4)睡眠習慣

寝不足も心臓に血液を送る冠動脈が詰り、動脈硬化の原因となります。睡眠は決まった時間を取り、しっかり熟睡する様にしましょう。

※上記の予防方法は、体質や他の病気との関係などによって一概に良い結果を招くとは限りません。運動は適度にすれば良いと述べましたが、狭心症の人には却って悪い結果を招きかねません。不安の有る場合は医師に相談することをおすすめします。



今回のまとめ

1)種類の違いとは?肺の痛みの7つの種類

2)部位による違いをチェック!肺の部位別の痛みの特徴とは

3)なぜ痛むの?考えられる4つの原因とは

4)症状を確認しよう!肺が痛い場合に考えられる3つの症状

5)症状が続く場合には・・考えられる2種類の病気とは

6)応急処置を試そう!息を吸うと肺が痛い場合への4つの対処法

7)息を吸うと肺が痛い場合にすべき検査方法とは?

8)症状が続く場合には・・専門医で行われる可能性のある治療方法

9)生活習慣から改善を!息を吸うと肺が痛い症状への4つの予防ポイント

息を吸うと胸が痛くなる原因や予防法などを述べてきましたが、たかだか息を吸うくらいで胸に痛みを感じる程度で病院へなど行かなくても、とお考えでしたら間違っています。胸の痛みの背景には心臓病や肺の病気など命に直結する恐ろしい原因が隠れていることもあるのです。胸に痛みなどを感じたら、そのまま放置せずに、早期に対策を取ることが非常に大切です。