聴診器と家族の切り絵

一度は聞いたことがある言葉、「不整脈」。病気や死のリスクを減らすために、どのようなことをすればいいのでしょうか。この記事では、不整脈になる原因と、日頃からできる対処法を紹介していきます。



不整脈の原因って?注意したい4大原因と症状を解説


1)種類の違いがあるの?不整脈の3つの種類と特徴とは

 (1)不整脈とは

不整脈というのは、「心拍数やリズムが一定でな状態のこと」を言います。自覚症状のない不整脈もありますが、突然死の原因となりうる不整脈もあります。常に不整脈の人でも日常生活に問題がない場合もありますし、普通の人でも不整脈を起こすこともあります。また、息を吸うときは脈が速くなり、息を吐くときは脈が遅くなります。それは生理的なものなので問題はありません。

(2)脈拍で分かる不整脈の数値

人間の脈拍は、安静時に毎分60~100拍程度です。これを下回っている状態を「徐脈」、上回っている状態を「頻脈」と言います。また、脈が抜ける「期外収縮」もあります。

(3)「徐脈」とは

毎分60拍未満になると、脳に必要な血液が送れなくなります。徐脈が原因で、めまいや失神が起きたり、理解力・記憶力の低下が起こるときもあります。

(4)「頻脈」とは

逆に、毎分100拍を超える状態を「頻脈」といいます。運動した後や緊張したときに心臓がどきどきしますが、それは自律神経の内の「交感神経」が勝っているからです。つまり、緊張や興奮、ストレスなどの気持ちの変化や、激しい運動をしたとき、そして薬の作用などによって交感神経が勝り、頻脈になります。

(5)「期外収縮」とは

「脈が飛ぶ」という言葉を聞いたことがある方もいらっしゃるでしょう。期外収縮は、本来生じるべきタイミング(トットットットッと言った一定の間隔)に脈が生じず、それよりも早くに脈が生じる状態です。敏感な方は脈が飛んだことを自覚しますが、自覚しない人もいます。1日に自分の年齢の数くらいは、期外収縮が起こっても問題ありません。

2)そもそも脈拍の正常数値って?

(1)男女・年齢別 正常脈拍数値

正常な脈拍の数値は、男性より女性の方が若干多く、若いほど多い傾向があります。下の表は、安静時の年齢別の正常脈拍数値と、男女別の心拍数中央値です。

年齢  正常脈拍   男性  女性

乳幼児 70~140  83  86

小学生 70~110  70  71

10代 70~110  70  71

20代 60~100  63  69

30代 60~100  66  69

40代 60~90   67  69

50代 60~90   68  68

60代 60~80   67  68

70代 60~80   63  66  (拍/分)

表を見ても、生まれて間もない乳幼児は脈拍が高いことが分かります。年齢によって異なりますが、正常な脈拍は、男性なら「60~70程度」女性なら「65~75程度」と覚えておきましょう。また、スポーツマン心臓と言って、日頃から激しい運動に取り組んできた人は脈拍が低いことがありますが、問題はありません。

3)要チェック!脈拍を測る場合の正しいポイント

(1)脈拍は朝に計る

脈拍は、朝が一番高くなります。昼・夕方の脈拍は、その日の行動によって違ってくるので、朝に計りましょう。

(2)毎日決まった時間に計る

脈拍の変化を記録するには、同じ時間に計る必要があります。例えば「起きてすぐに計る」、「起きてトイレに行ってから計る」など、自分でルールを決めましょう。

(3)リラックスして計る

脈拍は常に変動しています。心身ともにリラックスした状態で計り、測定前1時間は食事・入浴・運動などを避けてください。

Male medicine doctor hand holding stethoscope head

4)症状の確認を!不整脈の軽い症状・特に危険な症状とは

(1)自覚症状はないことが多い

脈が乱れても、それに気づかない人が多いです。例えば、期外収縮が1日に何万発も起こっている人は、何百~何千発しか起こっていない人より脈が飛んだことに気づきにくいです。

(2)軽い自覚症状

不整脈の自覚症状は、動悸、胸の不快感、立ちくらみ、息切れなどです。徐脈の方は運動すると疲れやすくなります。

(3)以下の症状があれば病院へ

脈が極端に遅かったり、期外収縮によって数秒以上脈が飛ぶと、めまい・失神が起こります。ひどいときは意識がなくなったり、倒れたりします。

5)何が原因なの?不整脈の主な4大原因とは

(1)年齢

不整脈の主な原因が、加齢です。歳を取ると、誰もが徐々に不整脈になっていきます。

(2)病気

不整脈がある方の半数以上は、心臓に病気を患っています。

(3)ストレス

ストレスからくる不整脈は、年齢を問わず誰にでも起こりうるものです。特に期外収縮は、多くがストレスによるものです。

(4)不摂生

飲酒や喫煙、睡眠不足、不規則な食事、運動不足などによっても不整脈が起こります。

6)特に注意の必要な4種類の不整脈とは?

(1)致死性不整脈

発症したら、短時間で治療しないと死亡する恐れのある危険な不整脈です。心室が痙攣する状態を「心室細動」と言います。突然死の原因の多くが、心室細動を言われています。電気ショックで正常な状態に戻さないと、死に至るものです。

また、数十秒以内に治まる心室細動を「トルサード・ド・ポアンツ」と言います。症状が治まると元に戻りますが、病院で治療をしないといけません。「房室ブロック」は、突然死に結びつく、徐脈による症状です。ペースメーカーを埋め込むことで予防ができます。

(2)準致死性不整脈

致死性不整脈ほどではありませんが、緊急を要する不整脈です。長時間放置しておくと、血液の循環が悪くなり死亡することもあります。

(3)心不全を引き起こす不整脈

極端な徐脈・頻脈が長時間続くと、心不全になることがあります。心不全とは、「心臓が上手く働かなくなって起こる、様々な障害」です。心臓の働きが低下していると、息苦しくなったり、むくみが起こったりします。

(4)自覚症状が強い不整脈

動悸、胸の不快感、立ちくらみ、息切れ、疲れやすいなどの症状が強い場合、患者さんの生活に支障があります。仕事を休みがちになったり、学業に精を出せなくなったりすると、ストレスでさらに症状が進行する場合もあります。

Hispanic doctor talking with patient with test results on tablet

7)試せる処置はあるの?不整脈の場合に試したい対処方法

(1)生活習慣の改善

ついつい遅くまで起きてしまう、食べ過ぎてしまうと言った生活を送っている方は、生活習慣を改善してみましょう。22時~23時の就寝、8時間程度の睡眠が理想です。寝付けない方は、目を瞑るだけでも身体が休まります。

生活リズムをリセットするために、早起きをして、翌日は眠くても昼寝をしないようにするのもいいですね。そうすれば、嫌でも22時~23時には眠くなると思います。食生活については、脂肪・塩分・糖分を減らした食事を心がけましょう。もちろん、飲酒・喫煙はNGです。

(2)ストレス解消

強いストレスは、不整脈だけでなく、様々な体調不良の原因となります。自分の好きなことをしたり、気分転換をしたり、お風呂に入ってリラックスしたりしましょう。湯船に浸かりながら、ふくらはぎや二の腕、肩などをぎゅうと揉むと、身体の緊張がほぐれます。時間がない人は、思い切り両肩を上げ、ストンと落とすのを繰り返すといいですよ。

8)症状が続く場合は専門医へ!行われる可能性のある検査方法とは

(1)心電図検査が一般的

ベッドの上で寝転んで、12ヶ所に電極を貼り付けて心電図を記録します。さらに正確に検査するために、運動をして、そのときの心電図を記録する「運動負荷心電図」もあります。

(2)心臓の弁や筋肉を調べよう

心臓に病気があるかないかを調べるには、心エコー検査が有効です。心臓の状態が分かれば、不整脈診断もできます。

(3)カテーテルを使った、非常に精密な検査

足の付根や肩の下からカテーテルを挿入する方法があります。このとき、カテーテルの先端から電気を流したり、投薬したりすることで、不整脈の原因がはっきり分かります。

(4)検査をするには

心電図検査は、大体の循環器内科で検査可能です。詳しい検査をする場合は、大きな総合病院がいいでしょう。費用は症状にもよりますが、心エコー検査は3割負担で3000円前後です。心電図検査は5000円前後、運動負荷心電図は1000円前後です。心臓カテーテル検査は、麻酔や入院を要するので10万円近くかかります。

Stethoscope in hands

9)行われる可能性のある治療方法とは?

(1)徐脈の治療法

徐脈の患者さんは、ペースメーカーを付けることで、健常な方と変わらない生活が過ごせます。局所麻酔だけで済むので、負担も少なく取り付けられます。費用は3割負担で60万円、限度額認定証があれば10万円程度になります。ペースメーカーを取り付けると、身体障害者となり、高所得者でなければ障害者年金が受給できます。

(2)頻脈の治療法

頻脈の患者さんは、手術をせずに治療が可能です。カテーテルを使って、頻脈の原因になっている心筋の一部を焼くことで、不整脈を防ぎます。3日~1週間の入院が必要ですが、高額医療制度によって10万円程の自己負担に抑えられます。

(3)もしもの場合

死に至らしめる危険がある不整脈が起きても、植え込み型除細動器があれば、それを止めることができます。値段は入院日数によって異なりますが、頻脈性不整脈の患者さんに処置が施されます。

10)習慣から改善を!不整脈の症状へ未然にできる予防のポイント

(1)食べるべき食べ物・避けるべき食べ物

不整脈が起こる原因は、生活習慣の乱れや心身のストレスです。それらを改善する食べ物は、乳製品や緑黄色野菜などのビタミンAを含む食べ物です。そして、ストレスを減らすものと言えば、やっぱりカルシウム。牛乳や煮干しなどを食べて、カルシウムを摂取しましょう。

反対に、いわゆる「嗜好品」は避けたほうがいいです。精製された砂糖は、実は自律神経を乱します。甘いものが食べたければ、黒砂糖を選ぶといいでしょう。とは言っても、取り過ぎは厳禁です。また、同じ理由でカフェインも避けるべきです。

(2)生活改善・ストレス解消

「7)不整脈の場合に試したい対処方法」で述べた通り、生活改善やストレス解消に臨んでみましょう。



今回のまとめ

1)種類の違いがあるの?不整脈の3つの種類と特徴とは

2)そもそも脈拍の正常数値って?

3)要チェック!脈拍を測る場合の正しいポイント

4)症状の確認を!不整脈の軽い症状・特に危険な症状とは

5)何が原因なの?不整脈の主な4大原因とは

6)特に注意の必要な4種類の不整脈とは?

7)試せる処置はあるの?不整脈の場合に試したい対処方法

8)症状が続く場合は専門医へ!行われる可能性のある検査方法とは

9)行われる可能性のある治療方法とは?

10)習慣から改善を!不整脈の症状へ未然にできる予防のポイント