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左胸下に痛みを感じると心臓の病気を疑って不安になるものです。しかしその不安感がストレスとなり、症状をさらに悪化させてしまうことがあります。左胸下の痛みが起こる原因を知り、適切に対処するようにしましょう。



左胸下の痛みが続く・・3大原因と可能性のある病気とは


1)症状をチェックしよう!左胸下の痛みの4つの症状とは

(1)突然起こる、締め付けられるような痛み

激しい痛みが15分以上続き、背中にも痛みを感じる。

(2)呼吸困難を伴う痛み

(1)よりもさらに激しい、呼吸が苦しくなるほどの痛みが起こります。

(3)左胸下の痛みとともに動悸が起こる

風邪のような症状の後に動悸や左胸下の痛みを感じるようになります。

(4)圧迫感、呼吸困難を伴う痛み

冷や汗が流れるほどの痛みを感じます。

2)なぜ痛みが生じるの?左胸下の痛みの3大原因

(1)肋間神経痛

肋骨に沿って通っている神経から脊髄にかけて痛みを感じる神経痛で、人によっては胸の痛みを訴えることがあります。あくびや咳をするだけでも痛みを感じることがあります。

(2)逆流性食道炎

胃から酸が逆流してしまうのが、逆流性食道炎です。逆流する時に食道が収縮するのですが、その収縮を胸の痛みとして感じてしまうことがあります。

(3)心臓の病気

左胸には心臓があります。左胸下に痛みを感じる場合、心臓の病気の可能性があります。

3)症状が続く場合は要注意・・考えられる5種類の病気とは

(1)狭心症

突然、胸の痛み、圧迫感などの症状を起こす病気で、日本人の3大死因の1つです。血管内腔が狭くなることによって、心筋(心臓を動かしている筋肉)に十分な血液・酸素が送りこめなくなり、胸に痛みを感じるようになります。主な症状は、胸の奥の痛み、圧迫感などになります。

(2)心筋梗塞

心筋に血液・酸素を送る血管を冠動脈といいます。動脈硬化により冠動脈に血栓ができ、血液の流れがストップし心筋が壊死してしまう疾患です。狭心症と同じく、日本人の3大死因の1つです。血流が途絶えた瞬間から、強烈に激しい胸の痛みに襲われます。心筋梗塞は、最初の発作で3割の人が命を失う病気です。心筋は血流の途絶えた状態が20分以上続くと壊死が始まります。安静にしていても強い胸痛が15分以上続く時は、一刻も早く病院へ行くようにしましょう。

(3)急性心筋炎

心筋がウイルス感染をして、炎症を起こす病気です。風邪のような症状から始まり、突然、心不全症状を起こし死亡してしまうこともあり、突然死の原因の一つになっています。主な症状は、風邪のような症状、心不全、不整脈などになります。死に至るほど急激に病状変化を起こすものを「劇症型心筋炎」といいます。心筋炎の発症頻度は、10万人に115人という研究結果もあります。

(4)急性心膜炎

心臓を包んでいる心膜に炎症を起こす病気です。主な症状は、胸痛です。心膜液が増え、心臓の動きに障害を与えてしまうことがあります。急性心筋炎と同時に起こることがあります。

(5)急性心不全

心臓の働きが急速に低下し、全身の血流が滞る状態になります。皮膚や唇が紫色に変わるチアノーゼ症状が現れます。他には、肺から血液を吸い上げる力が低下し鬱血がたまり、酸素の交換ができなくなることにより、呼吸困難が起こります。血圧が低下した状態を心原性ショックといい、死に至ることもあります。急速に症状が悪化していくのが急性心不全の特徴ですので、早く対応することが大切です。

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4)左胸下の痛みへ!自宅で試したい対処方法とは

左胸の痛みは、大きな病気の可能性を持っています。自宅での対処は、心臓など重大な病気でないとはっきりしている場合に行うようにしてください。

(1)肋間神経痛が原因の場合

肋間神経痛の原因ははっきりとはしていませんが、疲労やストレス、姿勢の悪さといわれています。まずは姿勢を正し、疲労やストレスをためない生活を心掛けましょう。肋間神経痛の痛みを和らげるツボをご紹介しますので、痛みがひどい時は刺激するといいでしょう。

・神封(しんぼう)

左右の乳首から指3本分(指をたてに胸に突き立てて3本分)真ん中に移動したあたりにあります。仰向けに寝た状態で、人差し指、中指、薬指の3本で左右同時に刺激します。痛みを和らげるだけでなく、胸の痛みに効果のあるツボです。

・げき門(げきもん)

前腕内側の真ん中あたりにあるツボです。反対の手の親指で、強く押しこむように刺激します。呼吸をすると痛みを感じる肋間神経痛や動悸・息切れに効果があります。

・缺盆(けつぼん)

鎖骨の上のくぼみのまん中あたりにあります。人差し指と中指をツボに当て、強く押しこむように刺激します。呼吸のリズムに合わせて行うと効果的です。胸の痛みを和らげる効果があります。

(2)逆流性食道炎が原因の場合

胃酸・腸液・胃の内容物が食道に逆流する病気です。食事の仕方によって症状が緩和されることがあります。気をつけたい食事法は下記です。

・よく噛んで食べる

消化しやすくしてから飲み込むことで胃腸の負担を減らすことができます。

・腹八分目を守る

お腹いっぱい食べてしまうと胃腸に負担をかけます。食事は腹八分目に抑えるようにしましょう。

・寝る直前に食べないようにする

寝る4時間前には食事を終え、できるかぎり胃の中を空っぽに近い状態にして眠るようにしましょう。

5)症状が続く場合は専門家へ!行われる可能性のある12種の検査方法

循環器科または循環器内科を受診して検査を受けます。ここにあげた検査は、狭心症に対する検査になります。疑われる病気によって検査内容・費用はかわります。

(1)血液検査

(2)心電図検査

(3)運動負荷心電図検査(うんどうふかしんでんずけんさ)

日常の運動によって起こる心臓の異常を調べる検査です。検査には、階段昇降を行う「マスター法」、ランニングマシンを使う「トレッドミル法」、エアロバイクを使う「エルゴメーター法」の3種類があり、運動時を再現し、心臓にかかる負担を記録します。

(4)ホルター心電図検査

携帯型の機械で24時間、心臓の状態を記録します。

(5)胸部エックス線検査

心臓・肺・大動脈の異常を見る検査です。動脈硬化の進行の程度をみることができます。

(6)心エコー検査

プロ―プと呼ばれる超音波発信機を胸に当て、心臓内部を画像化して調べます。「心臓超音波検査」ともいいます。

(7)ドブタミン負荷心エコー検査

ドブタミンと呼ばれる薬を点滴し、人工的に狭心症の発作を起こして、心臓の状態を超音波で調べます。通常検査しにくい発作中の心臓を診ることができます。

(8)心臓カテーテル検査

カテーテルという細い管を血管の中に通し心臓まで到達させ、心臓の血管を調べる検査です。

(9)冠動脈造影検査

カテーテルを心臓の冠動脈まで到達させ、造影剤を注入しエックス線撮影する検査です。

(10)CT検査

エックス線で身体を輪切りにした断面を画像化します。

(11)MRI検査

強い磁場と高周波を組み合わせ、いろいろな角度から身体の断面を画像撮影します。「磁気共鳴画像撮影」ともいいます。

(12)心臓医学検査

微量の放射線を出す薬を静脈に注射し、ガンマカメラで撮影し、画像化する検査です。放射性同位元素(RI=ラジオアイソトープ)を使用するので、「RI検査」ともいわれます。

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6)病気が疑われる場合には・・病院で行われる可能性のある治療方法

ここでも狭心症についてみていきましょう。費用はその人、その人の状態によって変わってきます。

(1)薬物療法

狭心症の薬には「血管拡張薬」と「ベータ遮断薬」があります。「血管拡張薬」は、冠動脈を広げ血流を良くする作用と、全身の血管を広げ心臓の負担を軽くする作用があります。「ベータ遮断薬」は、交感神経の働きを抑え、血圧、脈拍数を制御し、心臓の負担を軽くします。

(2)冠動脈形成術(PTCA)

動脈硬化で狭くなった冠動脈を広げる手術です。先端に風船(バルーン)をつけたカテーテルを、冠動脈の狭くなった部分で膨らませ動脈を広げます。

(3)冠動脈バイパス術

冠動脈形成術が難しい場合や危険を伴う場合に行われます。バイパスには足の静脈・胸・腕・胃のいずれかの動脈を使います。

7)日常生活から注意を・・!左胸下の痛みへの4つの予防ポイント

(1)食習慣

左胸下の痛みの原因のひとつに心臓病が考えられます。心臓病を予防するには、血流をよくすることが大切になってきます。ここでは血液をサラサラにしてくれる食習慣をご紹介します。血液をサラサラにする食べ物は、「オ・サ・カ・ナ・ス・キ・ヤ・ネ」と覚えましょう。

・オ=お茶

お茶の中で血液をサラサラにする効果が最も高いのが「麦茶」です。麦茶の原料である大麦が、赤血球の流れを良くしてくれます。

・サ=魚

青魚に含まれるDHA、EPAは、血液の流れを良くするといわれています。特にEPAは、血小板が固まるのを防ぐ作用があります。青魚には、イワシ、アジ、サバ、カツオ、サンマなどがあります。ある研究によると、DHAとEPAの摂取が多いグループ(1日あたり2.1g)の人達は、少ないグループ(1日あたり0.3g)の人達と比べて、心疾患を起こす割合が40%以上も低いという結果が出ています。心筋梗塞については、約65%もリスクが低いという結果が出ています。

・カ=海藻類

ワカメや昆布などの海藻に含まれるヨードには新陳代謝を高める作用があり、アルギン酸には血糖値の上昇を防ぎ、コレステロール値を下げる作用があります。

・ナ=納豆

納豆に含まれる酵素ナットウキナーゼは、血栓を溶かす作用を持っています。

・ス=酢

酢に含まれるクエン酸には、血液中の老廃物を排出してくれる作用があります。特に黒酢がおススメです。

・キ=キノコ類

キノコのβグルカンと呼ばれる多糖体が、コレステロール・血糖値を下げてくれます。特にシイタケのエリタデニンは、過剰なコレステロールを排出してくれます。

・ヤ=野菜

色が濃い野菜、冬場に旬を迎える野菜、寒い土地で収穫される野菜など、これらの野菜は身体を温め、血行を良くしてくれます。

・ネ=ネギ類

長ネギや玉ねぎなどのネギ類に含まれる硫化アリルは、血液が固まるのを防ぎ、サラサラにする作用があります。これらの食材を意識しながら、バランスの良い食生活を心掛けましょう。

(2)生活習慣

心臓病は、ストレスが大きく関わる病気といわれています。過度のストレスが血糖値・血圧を急激にあげ、心臓の機能を低下させるきっかけとなります。趣味を持つ、好きなことをする時間をつくるなど、ストレスを感じない生活を心掛けましょう。

(3)睡眠習慣

心臓病のための睡眠は、長すぎても短すぎても良くないといわれています。ハーバード大学の研究により、睡眠時間が5時間以下の人は8時間の人に比べ、冠動脈疾患発症の割合が1.45倍になることがわかっています。他の研究では、10時間以上の睡眠が心臓病、糖尿病のリスクを高めることが明らかになっています。これらの結果から心臓病の予防には、7~9時間の睡眠が適しているということができます。

(4)運動習慣

心臓病を予防するために<1日30分のウォーキングを週5回行う>ことが研究によって裏付けられており、世界心臓連合も推奨しています。ウォーキングといってもゆっくり歩くより、早歩きくらいのはやさの方が効果があるようです。まずは無理せず、10~15分ほどから始め、徐々に距離、時間を増やしていくといいでしょう。このように左胸下の痛みには、心臓の病気が隠れていることがあります。心臓の病気には、素早く対応することが大切です。不安に感じているのなら、まずは主治医に相談してみるのがいいでしょう。



今回のまとめ

1)症状をチェックしよう!左胸下の痛み4つの症状

2)なぜ痛みが生じるの?左胸下の痛み3大原因

3)症状が続く場合は要注意・・考えられる5種類の病気とは

4)左胸下の痛みへ!自宅で試したい対処方法とは

5)症状が続く場合は専門家へ!行われる可能性のある12種の検査

6)病気が疑われる場合には・・病院で行われる可能性のある治療方法

7)日常生活から注意を・・!左胸下の痛みへの4つの予防ポイント