患者に説明をするナース

最近、疲れやすさや食欲不振を感じたりしていませんか。日本人の成人女性のうち約17%は貧血と言われ、その原因となるのが「ヘモグロビン」。

今回は、血液の中の小さなヘモグロビンが少ないことで起こるリスクにと解消法ついてご紹介します。






ヘモグロビンが少ない4つの原因!5つの病気


1)ヘモグロビンとは何か

血液中の赤血球にある血色素のことで、ヘムという色素とグロビンというたんぱく質からできています。酸素を体内の組織に運び、排出された二酸化炭素を受け取って肺まで送り出します。

2)ヘモグロビンが少ないことの5つの貧血

貧血とは、「ヘモグロビンまたは赤血球の量が正常より少なくなった状態」をいいます。

原因により多くの種類に分かれますが、共通する主な症状としては、目まい、立ちくらみ、耳鳴り、動悸・息切れ、疲れやすさ、食欲不振、顔面蒼白、頭痛、微熱、寒さを感じやすくなる、といったことが挙げられます。

進行が穏やかな場合は症状が伴わないこともあります。以下が主な貧血の種類です。

(1)鉄欠乏性貧血

貧血全体の70%を占め、「ヘモグロビンの主な材料である鉄が不足することでヘモグロビンをつくることができなくなり起こる症状」です。

(2)再生不良性貧血

「血液をつくっている骨髄が脂肪に置き換わり、骨髄の働きが低下することで、赤血球や白血球、血小板をつくらなくなる病気」です。

貧血に共通の症状に加え、発熱やのどの痛みといった風邪の諸症状が見られます。その他、皮膚や歯茎から出血しやすくなる、あざができやすくなる、出血しても止まりにくくなるといった症状や、血尿や血便が出ることもあります。

(3)悪性貧血(巨赤芽球性貧血)

「中高年に多く、赤血球をつくるのに必要なビタミンB12や葉酸の欠乏によって起こる症状」です。共通の症状の他、手足のしびれ、白髪の増加、舌の荒れ、精神症状が徐々に起こります。

(4)溶血性貧血

「生まれつき赤血球に欠陥がある場合や、赤血球の膜が壊れ、ヘモグロビンが流出することで起こる症状」です。共通の症状の他、黄疸や発熱、腹痛、胆石の発生や脾臓の腫れといった症状が見られます。

原因は様々ですが、マラソン選手や長距離歩行などのスポーツ選手に起こることがあります。

(5)二次性貧血(続発性貧血)

がんや腎臓病、肝臓病、感染症といった病気の二次症状として起こるものです。一般的な貧血の症状が発症します。

よく言う「貧血で倒れる」は貧血ではない

朝礼などで倒れているのは、貧血ではなく「失神」で、正確には「血管迷走神経性失神」と言います。

「長時間立っていたり、同じ姿勢が続くことで神経のバランスが崩れ、体の血管が開き、脳の血液が薄くなること」で起こります。

3)ヘモグロビンが少ないことで起こる5つの症状

(1)動悸・息切れ

酸素を運ぶヘモグロビンが不足すると、体が少ない酸素を最大限に活用しようとするため、血液の循環が早くなります。すると動悸が起こり、呼吸運動が盛んになることで息切れします。

(2)疲れやすくなる

血液を積極的に体中に送ろうとすることで、心臓や肺に負担がかかり、疲れやすくなります。また肌荒れや睡眠障害を招く場合もあります。

(3)皮膚の蒼白・粘膜が黄色がかる

ヘモグロビンは血液中の赤い色素であるため、不足すると顔面が青白くなったり、口の中の粘膜や下まぶたなどに赤みがなくなり、黄色がかることがあります。

(4)爪が反りかえる、髪がパサつく

爪や髪の主成分は鉄であるため、ヘモグロビンの原料である鉄が不足すると、爪がスプーン状に反り返る「さじ状爪」や、髪のパサつきが出てくることがあります。

(5)固形の食べ物が飲み込みにくくなる

ヘモグロビンの減少の要因として考えられる鉄不足により、食道の粘膜細胞の増殖に影響を与え、食道が収縮。固形の食べ物が飲み込みにくくなります。

Stethoscope in hands

4)ヘモグロビンが少ない4つの原因

(1)鉄の摂取不足

無理なダイエットや偏食、外食やインスタント食品の多食によっても鉄の摂取量が減少します。

(2)鉄需要の増加

妊娠・授乳期では多くの鉄が必要となります。また、骨・筋肉が形成される子どもの成長期には、必要な血液量も増加します。

(3)出血を伴う疾患

消化器系のガンや末期がん、胃潰瘍、十二指腸潰瘍、大腸潰瘍、慢性腎不全、肝硬変といった病気では、出血を伴い、ヘモグロビンが減少します。月経過多での出血量増加も要因となります。

(4)吸収力の低下

胃切除などにより胃酸の分泌が不足すると鉄の吸収が阻害されることがあります。

5)ヘモグロビンが少ない場合の4つの対処法

ここからは、貧血の中でも高い割合を占める「鉄欠乏症貧血」への対策や予防についてご紹介します。

(1)十分な鉄分の摂取を

鉄分には「ヘム鉄」と「非ヘム鉄」の2種類があります。ヘム鉄はレバーや赤みの魚に多く、吸収率が15~25%と高いのが特徴です。

非ヘム鉄は大豆や緑黄色野菜、海藻などに多く含まれ、ビタミンCとともにとると吸収率がアップします。貧血の場合は非ヘム鉄よりも5倍の吸収率があるヘム鉄をよくとるのがおすすめです。

また、鉄製の調理器具を使用することも摂取方法のひとつです。

※鉄の吸収を妨げる成分の過剰摂取に注意

コーヒーや紅茶、緑茶に含まれるタンニンや、玄米に含まれるフィチン酸、ほうれん草のシュウ酸といった成分は、鉄と結合することで吸収を妨げることがあります。

食後やティータイムごとに1~2杯程度であれば特に問題にはなりませんが、過剰摂取には気をつけましょう。

(2)必要な栄養素を含むサプリメントの摂取

鉄分の他、葉酸やマルチビタミンといった、鉄の吸収を補う栄養の摂取がヘモグロビン不足を補います。これらの栄養素をまとめてとることのできるサプリメントがおすすめです。

(3)バランスのよい食事をとる

バランスのよい食事とは、「主食・主菜・副菜がそろった食事」のことを言います。以下はその目安となる量です。

主食

ご飯・パン・めんなどの炭水化物が多く、エネルギー原となるもの。1食につきご飯なら約150g(お茶碗に中盛り程度)、食パンなら約90gが目安です。

主菜

肉や魚、卵、豆腐といったたんぱく質が多く、メインのおかずとなるもの。鉄分の吸収を助けます。1食につき1皿(60~80g)が目安です。

副菜

ビタミンやミネラル、食物繊維の供給源となるものです。炒め物、汁物、お浸し、サラダなど、1食あたり2皿あるとよいでしょう。

その他

上記に加え、果物や乳製品も取り入れるようにしましょう。その他、生(切る)、煮る、焼く、蒸す、揚げるという「5つの調理法」を上手に取り入れることもポイントです。

(4)造血効果のあるビタミン類を積極的に

ビタミンC

鉄の吸収を高めるものです。新鮮な緑黄色野菜や果物に多く含まれます。

ビタミンB12

正常な赤血球をつくります。牛レバー、豚レバー、魚介類、貝類、卵黄、チーズに多く含まれます。

葉酸

こちらも正常な赤血球をつくるために必要となります。牛レバー、豚レバー、卵黄、大豆、納豆、ほうれん草、ブロッコリーなどに多く含まれます。

※注意

ビタミンB12や葉酸、さらに鉄も多く含むレバーですが、レチノールが多く含まれているため、妊娠中の過剰摂取には注意が必要です。

Patients undergoing the medical condition of the description

6)ヘモグロビンが少ない場合への2つの治療法

まず、ヘモグロビン減少の原因ががんや潰瘍、月経過多といった他の病状にある場合はそちらを治療することが必要になります。以下は「鉄欠乏性貧血」の場合です。

(1)鉄剤の内服

1日1~2回、鉄剤の内服を行います。服用開始から3~4週間程度でヘモグロビンが増加し、2~4か月の治療でヘモグロビンが正常値になります。その間、定期的な通院で血液検査を行います。

(2)注射による治療

吐き気などの副作用が強く薬の内服が難しい場合などは点滴による鉄の補充を行います。比較的頻繁な通院が必要です。

費用としては医療機関や診察内容によって異なります。初診料の場合は3割負担で810円、自費で2,700円ですが、薬や注射の値段によって変わってきます。

検査についても1,000程度のものから5,000円以上のものまで幅があるようです。

7)ヘモグロビンが少ない場合への2つの予防ポイント

(1)規則正しい食生活

栄養バランスについてはすでにご紹介しましたが、1日に1~2食では1日に必要な栄養素を十分に摂取できないため、1日3食、規則正しくとることが大切です。

(2)運動習慣

軽く息が上がる程度の有酸素運動を継続しましょう。運動により酸素を多く運搬する必要が高まると、赤血球が増えようとするため、ヘモグロビンも増加します。

開始してから30分程度続けられるような運動を、週3回行うとよいでしょう。






今回のまとめ

1)ヘモグロビン不足には、十分かつ上手な鉄分の摂取が必要。また鉄の吸収を妨げる食品には注意する。

2)必要に応じ、サプリメントも賢く使う。

3)主食・主菜・副菜がそろった、バランスのよい食事を3食規則正しくとる。

4)ビタミンCやビタミンB12、葉酸といった造血効果のあるビタミン類を積極的に取り入れる。

5)適度な有酸素運動を継続することが大切。

日常の食生活が血液の小さなヘモグロビンにつながり、疲れやすさや動悸・息切れなど様々な体の症状につながります。

「最近なんだかおかしい」と思ったら、ぜひ“日ごろの行い”から見直して、改善していきましょう