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直射日光の下で「脱水寸前になった」という経験はおありでしょう。つまり、いつ、だれがそうなってもおかしくない、それが「脱水症状」です。

放っておくと大変危険です。とっさの対処ができるように、日常から心がけておきたいものの一つ、です。



脱水症状の3つの対処法!水分補給のコツ


1)脱水症状の3つの種類とは

私たちの体は、酵素やミネラルなどの必須成分が微妙な配分で構成された「水分」で満たされています。

血液や体液からその成分が失われると、バランスが悪くなり機能不全になります。脱水といっても「水」不足だけではないのです。

(1)低拡張性脱水

ナトリウムつまり電解質が失われた状態。このとき水だけを補給すると、ますます状態が悪くなります。大量の下痢や発汗によって起こりがちです。

(2)等張性脱水

水分とナトリウムが、同時に不足する状態。このときも水だけを与えると、かえってナトリウム不足になります。

(3)高張性脱水

水分がなんらかの原因で不足する状態。

喉が渇いているのに自力で水を飲めない高齢者や乳児がかかりやすい、といわれています。高齢者はのどの渇きを感知できず、乳児は自分の不調を訴えられません。

世界の乳児の死亡原因の半数はこの脱水によるもの、という報告もあります。気をつけてあげてください。

2)脱水症状の3大原因とは

ふつう脱水は「戸外で、直射日光のもとで起きるもの」と思います。しかし、脱水はいろんな状況で起こります。内臓疾患が原因で、体液のバランスが悪くなっても脱水は起きます。

身体疾患なら、原因を根本治療する必要がありますね。

(1)高温多湿

直射日光、高温、高湿気、激しい運動。これらは体内の水分をどんどん奪います。体温調節のためです。そして水分不足になります。いわゆる「熱中症」と言われるものですね。

夏、冷房の効いた部屋にいても寒い冬でも、通気が悪く水分補給が足りないと脱水症状は起こりえます。とくに乳幼児や高齢者は、気をつけなくてはなりません。

(2)大量の下痢・嘔吐・発熱

下痢やおう吐を繰り返すと、脱水症状になります。消化液には電解質といわれる物質があり、これも体液の重要な成分です。

このバランスが崩れると身体内が機能しなくなり、危険な状態になります。発熱があると、なおさらです。

こうした状況は、急性食中毒やインフルエンザなど、感染症の場合に見られます。また急性アルコール中毒でも、脱水状態になります。

(3)内臓疾患によるもの

内臓の疾患が水分不足を起こします。よく知られているのが糖尿病です。

初期には「なんだか喉が渇く」といわれるのは、血糖値を下げようとして排尿が多量になり、結果として脱水状態になるものです。

さらに排泄機能を司る腎臓になんらかの疾患があると、排水量のコントロールが効かず脱水になります。

3)脱水症状へ自分でできる3つの対処法

「脱水か」と思ったら、すぐに対処しましょう。早ければ早いほど回復も速やかで後遺症も残りません。

ただ、状況に応じて適切に行うことが大切ですので、しっかり判断して適格な行動をとることがポイントです。そのための知識を抑えておきましょう。

(1)水分補給

すぐに水分補給をします。水だけでなく塩分も補給しましょう。市販のスポーツドリンクには電解質も入っていますので吸収も早く、効果的です。

ただし、乳幼児や高齢者にはスポーツドリンクは厳禁。与えていいのは「経口補水塩」です。これだけは覚えておいてください。これも市販されています。

(2)体を冷やす

当然ながら直射日光を避け、風通しの良い場所に横にします。

水分を補給しつつ、体を冷やします。と言っても、急激に冷やすと体がショックを起こします。首、脇の下、腿の内側などの動脈を、濡れたタオルで冷やします。

フラフラしているようなら、足を高く上げて頭に血を送るようにしてください。

筋肉がけいれんしたり意識が混濁している状態なら、すぐに救急車の手配をして、医療機関に運びましょう。

(3)疾患ならすぐ病院へ

下痢や嘔吐が続いたり、内臓疾患が引き金と思われる脱水症状は、素人では手に負えません。水分を与えるとかえって危険です。すぐに医療機関に行ってください。

乳児も、すぐに病院へ運びましょう。

empty nurses station

4)脱水症状の際の水分補給の2つのポイント

(1)大量に飲ませないこと

「水分補給」だからといって、急激に大量の水を飲ませると血液のバランスが崩れ、脱水と逆の症状が出ます。

いわゆる「水中毒」といわれるもので、ある意味、脱水より怖いとも言われます。とくに高齢者や子供は、気をつけましょう。

体が受けつけるかどうか、少しずつ様子を見ながらゆっくりと補給しましょう。もし嘔吐するようなら、すぐ医療機関へ行きましょう。

熱を下げようとして、冷たいものを与えるのもよくありません。ひと肌程度の温度にしましょう。

(2)誤嚥を防ぐ

横になって意識もはっきりしないまま水分をとるのは、誤嚥の原因です。大人でもそうですから、乳幼児や高齢者は、なおさら危険です。

少し上半身を立てて、ゆっくりと飲み込んでもらいましょう。起き上がれないときは、横向きになると、少しは楽です。

誤嚥で肺に水が入ることはとても危険ですから、細心の注意をしてください。

5)脱水が続く場合の初期・中期・後期の3つの症状

一言で「脱水」といっても、状況や原因、その人の体質によって、状況はさまざまです。まずは通りの症状を知っておくことで、あわてることなく対処ができるでしょう。

一般的なポイントをしっかり押さえて、個別の状況も判断材料に加えてください。

(1)初期

のどの渇き・体温上昇

一般的に、直射日光の下に居たり激しい運動をすれば、だれでも喉が渇きます。これは、初期の水分不足のサインです。ここを軽く見ていると次の段階に進みます。

(2)中期

頭痛・吐き気

頭痛や吐き気は、中期の段階。もはや身体機能にまで水分不足が影響している、というサインです。体がダルくなり、めまい、立ちくらみも起こります。

唇がカサカサになることもありますし、目が痛くなって開けていられない、という場合もあります。これは皮膚の粘液からも水分が失われた証拠。

低血圧になり顔から血の気が引きます。脈も速くなり乱れます。

(3)後期

けいれん・意識混濁

こうなると命にかかわります。自身では、もうどうすることもできません。大げさでなくこうなる前の対処が、生死の分かれ目ともいえます。

6)脱水症状が続くことで考えられる3つの病気

脱水、と軽く見ていると、とんでもない病気が潜んでいることがあります。既往症のある人は、症状の悪化かもしれません。

外的要因に心当たりがなく、脱水症状が続く場合は、以下の病気が考えられますので、すぐに医療機関を受診してください。

(1)高血糖症

いわゆる糖尿病を含む、血液のバランスの崩れです。体が血液中の糖分を排出し濃度を均等にしようとするため、大量の排尿があり必要な水分まで排出されてしまうものです

糖尿病の治療薬を投与すると、副作用として起こることもあります。

(2)腎機能障害

水分調整し排出する腎臓が機能しなくなり、結果として脱水状況になります。むくみがあると、かなり疑いは高くなります。

これはとても恐ろしいことで、一刻も早い治療が必要です。糖尿病や高血圧症の人がこうなる可能性が高いとも言われますが、腎機能に負担をかけ続けているからでしょう。

(3)循環器系・消化器官系の疾患

消化器系になんらかの疾患があり消化不良になっている場合は、水分が不足して脱水症状が出る可能性があります。

心不全など循環器の疾患でも、水分不足になります。こうなると悪循環ですから、迅速な治療が必要です。

Patients undergoing the medical condition of the description

7)脱水症状が続く場合の検査方法

たんなる突発性の脱水なら、生理食塩水の点滴で収まります。脱水が改善されない場合は、内臓疾患を疑いましょう。現在では、ほぼすべての疾患が血液検査で判明します。手軽で正確です。

結果も半日ほどで判明しますから、すぐに検査を受けてください。治療中の人も、主治医に相談して再検査しましょう。

(1)血液検査

脱水が原因で血液が濃くなり、ヘモグロビン、アルブミンの数値が高くなります。もちろんこれだけではなく口の粘膜が渇いていることも、判断基準です。

ここで単なる脱水と判定されれば、生理食塩水の点滴が処方され、安静を言い渡されます。

また腎機能の低下も、クレアチニンの数値で判定できます。

(2)尿検査

さらに並行して、尿検査がおこなわれる場合もあります。糖尿疾患、腎疾患などが判定されます。いずれの検査も、内科で行ってもらえます。

費用は初診料を含めて、保険適用で5000円程度とみればよいでしょう。そこから、疾患に応じての精密検査や治療へとすすみます。

8)喉が渇く状況を未然に予防するための3つのポイント

喉が渇くことは脱水のサインですから、ぜひ見逃さないようにしたいものです。しかし、そんなに頻繁に水分補給ができない状況のとき、事前に予防する方法があれば安心ですね。

ちょっと押さえておくと、なにかのとき役立つでしょう。

(1)起き抜けの一杯の水

朝、起きたときはなにかとせわしくて、のどの渇きなど気にしません。しかし、寝ている間の7,8時間、水分は出っ放しです。

呼吸するだけでも水分は出ていきますから。そこで、朝いちばんに、コップ一杯の水を飲む習慣を、家族全員つけましょう。

とくに子乳幼児や高齢者には、夏など夜中にもコップ一杯のお水を飲んでもらうようにしましょう。時間に追われてバタバタしてゆっくりしてからお茶では、遅いのです。

(2)食事の量と質

朝、何も食べずにそのまま満員電車や授業。これでは脱水予備軍です。必ず食事をとる習慣をつけましょう。

とくに「朝の果物は金」と言われます。水分たっぷりの自然の甘さの果物を食べてください。野菜ジュースもおすすめです。もちろん減塩の味噌汁も理想的です。

とくに、「今日は暑いぞ」「今日は忙しくてお茶なんか飲む暇ないぞ」というときは、しっかりと水分を体に蓄えるつもりで食べてください。

塩辛いものを食べてお茶をがぶがぶ飲んで。水分たっぷりのようにみえて、実は水分を大量に排出する原因になっています。

甘いもの塩分の多いものの摂りすぎは、体からそれらを排出する防衛機能を働かせてしまいます。そして必要な水分まで出ていってしまうのです。

自然な味、薄味で食べ物そのものの美味しさを楽しんでください。これらは、糖尿病や腎臓病、高血圧の予防にもなることです。

いつもペットボトルなどを携帯して、手軽に水分補給ができる状態にしておけば安心です。

(3)適度な運動

日ごろから適度に運動して、発熱・発汗作用とそれを抑制するシステムを働かせておきましょう。そうすることで突然の高温や激しい運動にも、かなり対応できる体が作られるはず。

せめて週に3回ほど、汗ばむような運動を心がけてください。

軽いウォーキングでも、ちょっと早足で歩いてみてください。もちろん、水分補給を忘れずに。

その昔よく行われていた部活の生徒に水を与えない、のはもはや虐待です。根性がつく前に死んじゃいますから。



今回のまとめ

1)脱水症状の外的要因と内的要因を知る

2)脱水症状の原因を押さえる

3)脱水症状に、自分できる対処法を知る

4)脱水症状の際、水分補給のポイントを実行する

5)脱水が続く場合の症状の変化を知る

6)脱水症状が続くことで考えられる病気を押さえる

7)脱水症状が続く場合の検査方法.

8)のどが渇く状況を未然に防ぐ生活をする

以上のことを知り、日ごろから実行し、まさかの時に備えましょう。

私たちの60兆個の細胞は、一つ一つがすべて「水分」で満たされています。いわば命の海に浸かっているのです。

海の水が干上がると、もちろん命は維持できなくなります。メーターがあるわけではなく目には見えないからこそ、自分の体の水のことは自分で管理したいものです。